絵本ライブラリー 読む、残す、思い出す

2020.4.1スタート。元小学校教諭,小3&3歳兄弟育児中の筆者が,読み聞かせをした絵本を中心に書籍の記録・紹介を行っています。自分と、子どもたちと、本との軌跡を記しておきたい。筆者の肌感覚によるカテゴライズもしております。昔の記事も振り返って楽しんでもらえるブログを目指したい。

ABC BOOK①いろいろなどうぶつになってみました

『ABC BOOK①いろいろなどうぶつになってみました』 五味太郎

 

英語の絵本、いろいろあるヨネ。

我が子の育児でも、小さい頃から英語に触れていた方がいいのかなぁ、と思って、英語の歌を歌ったり、英語で話しかけたり、英語のCDを聴かせたり、英語であそぼ!見せたり、字幕で映画見ながら授乳したり?、お教室に通わせるような金も甲斐性も無いくせに、何とな~く、機会があれば英語も、みたいな貧乏根性はいつもそばにあった。

えー、さて、5歳現在、彼にとって、英語は喋れたらカッコイイもの、という意識はあるらしく、完全にデタラメな謎語を喋って、「すごい?」と聞いてくる。ハイ、英語に対して抵抗は無いようですが、だからと言って特に身に付いてはおりません。…そんなもんじゃな。

 

さて、英語の絵本、アルファベットの絵本はいろいろあるけれども、おぉ!五味太郎さんも出しているではないか!ということで、手に取ってみました。(すみません!画像が見当たらず、今回は画像無しでお送りいたします。ごめんなさい!)

 

Aは、alligator。Bは、bear。Cは、cat…そんな風に、頭文字がアルファベットのA~Zの動物たちが、どんどん、続々、出てきます。

アルファベットの大文字、小文字/綴り/発音記号/発音のカタカナ表記/言葉の意味…と共に、

 

“「わに」になってみました。

きゅうに げんきになりました。”

 

“「くま」になってみました。

春がくるのがまちどおしいな、

なんておもいました。”

 

“「ねこ」になってみました。

わたしはかわいいと、

すなおにおもえました。”(本文より)                        

 

な~んて、五味太郎さんらしいコメントが、五味太郎さんらしいイラストと共に描かれている。あぁ、ぐぐっと、魅力的。なんか、文化的。

知らない単語も多いから、5歳には難しいかなぁとは思いつつも、我が家でお風呂に貼っている『はらぺこあおむし』のABC表とかぶっている動物がいたり、英語であそぼの歌でワニをクロコダイル、って歌ってて、アリゲーターっていう呼び方もあるんだね(実際は、種類によって呼び分けているらしいけど、その辺は割愛)ということが分かったり、なにより五味さんのユーモアに包まれて、飽きずに楽しく読めました!ゾウに笑い、馬に笑い、急に出て来るウルトラマンには爆笑。

 

今回読んだのは、『ABC BOOK①いろいろなどうぶつになってみました』ということで、シリーズ1作目。次作として、『ABC BOOK②いろいろなものになってみました』という作品もあるらしい。

何になってみちゃうんだろう…。

動物、という限定された世界ではなく、選択肢は無限大。どんな物を、言葉を、選ぶのか。

五味太郎さんセレクトが気になります。

 

『ABC BOOK①いろいろなどうぶつになってみました』 1991年

発行所 ブロンズ新社

著者 五味太郎

 

 

ぐりとぐらのおきゃくさま

ぐりとぐらのおきゃくさま』 なかがわりえこ と やまわきゆりこ

 

11月に入り、街はクリスマスシーズンに突入。11月に入った途端だよね!少々早くないかっ!?近年、ハロウィーンが終わったら、もはやクリスマス的な流れになってきているような気がする。でも、私は、音楽も、飾りも、クリスマスの雰囲気がだ~いすきなので、本当に幸せな季節です。

クリスマスって、絵本もたくさんあって、わくわくほくほく。少しずつ読んでいきたいなぁ。

 

 

 

辺り一面雪景色の森で雪合戦をしていたぐりとぐらは、雪の上に大きな足跡を見つけて、その跡をつけていくことに。すると、たどり着いたのは、なんとぐりとぐらのお家!

大きな長靴に真っ赤なオーバー、真っ赤な帽子…ぐりとぐらの家にやってきた、大きな大きなお客様は、いったい誰なのでしょう…。

 

 

あぁ!まずもって、表紙のマントにブーツ姿のぐりとぐらが愛おしい。

そして、自分の家を目の前にして、

“なんだか みたことのある ばしょだね”

な~んて目をこすらないと我が家だって気付かないお二人…本当にお茶目だわ!

 

冬の絵本ならではでしょうか。言葉ひとつひとつも、ほっこりと温かく迫って来る気がする。

“きんボタンの ついた まっかな オーバー”に“えりまき”…オーバーとか、襟巻って、最近あんまり言わないよね。でも、コート、でも、マフラー、でもない、その言葉が、重厚に、耳を、心を温めてくれるような気がする。

 

このお話の最後の一文が、

「みんな おちゃを のみ、クリスマスの ケーキを よばれ、うたったり おどったりしました。」(本文より)

なのだけれど…“ケーキをよばれ”る…!?この表現、最初は分からなかったのだけれど、ちょいくら調べてみると、「よばれる」という言葉には「いただく」とか「ごちそうになる」という意味があるらしい。ほぉ~。ちなみにネットで調べると、他にも何人も「ぐりとぐらのおきゃくさま ケーキをよばれる」って調べていた模様。私だけじゃなくてよかった♡笑

時代とともに言葉が変化していくことは当たり前のことで、「りょ」だの「ま!?」だの、ファストな言葉も便利で親しみやすくてその尊さにも付いていかねばならぬとは思えど、温故知新、古から伝わる豊かな語彙は、やはり心を豊かにしてくれるような気がするの。古、じゃなくて教養の問題ダロと言われればそれまでですけれども。ノスタルジー

 

 

扉絵には、暖炉の前で読書をする2匹が。ぐりとぐらの世界って、山脇百合子さんの絵って、丁寧な暮らしが垣間見えるのが、またたまらんのです。

 

さて、今年の我が家にも、あの素敵なおきゃくさまは来てくださるかなぁ。

 

 

ぐりとぐらのおきゃくさま』 1967年(こどものともは1966年)

発行所 福音館書店

中川李枝子 さく 山脇百合子 え

 

 

こぶたほいくえん

『こぶたほいくえん』 なかがわりえこ ぶん やまわきゆりこ

 

ぐりとぐらシリーズをはじめ、たくさんの素敵な作品を生み出している大好きなお二人の絵本!

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友達のおすすめで読んでみました。

 

表紙には、かわいいこぶたちゃんたち。

山脇百合子さんの描くブタちゃんって、なんとも、なんとも可愛くて大好きなのですが、この本はこれでもか!と、ぶた&こぶたがいっぱい!幸せぇ~…元気ハツラツのこぶたたちはもちろん、こぶたたちのママもまたカワイイんだよなぁ。

bg8qp.hatenablog.jp

 

 

三びきのこぶたのきょうだい「まきお」「はなこ」「ぶんた」は、元気いっぱい。家の中でもお外でも、あまりにやんちゃな三びきを、お母さんとお父さんは保育園に入れることに。はじめはお母さんと離れて寂しがる三びきですが、お友達や先生と楽しくのびのび遊び始めます。

 

 

 …うんうん、そうだよねぇ!!子どもたちって、保育園で、きっとこんな風に過ごしているんだろうなぁ、と思う。お家の人と離れて悲しくて泣いていても、急に思い出して寂しくなっても、あーだこーだお友達と関わりながら楽しく遊んでいるうちに、元気が出てくる。楽しくなってくる。

 

そうして、少しずつ、自立していく。大人になっていく。(まだまだ道のりは長いけどねっ!)

 

保育士をしている義母から、“心の中にお母さんがいる子は、離れても安心して過ごせるんだよ”と聞いたことがある。お母さん(もちろん、お父さんでも、おじいちゃんでも、おばあちゃんでも、おじちゃんおばちゃんでも…)と、たくさんふれあって、たくさん愛情をもらって、心の中に“お母さん”(お父さん、おじいちゃん、おばあちゃん、おじちゃんおばちゃん…)がいてくれるようになると、泣かずに過ごせるようになっていくんだって。

 

だから、仕事とはいえ、離れるのは寂しいけれど…一緒にいられるときにめいいっぱいの愛を注いで、子どもの心の中のお母さんを育てていく。そして、背中を、押していく。

 

自立を促すことは、愛、なのだと思う。

 

見守ってるよ。大丈夫だよ。困ったときは力になるよ。誰よりも君を応援しているよ。

だから、自分でやってごらん。勇気を出して挑戦してごらん。

 

「できた!」は、自分でつかみ取った自信は、何よりのプレゼントなんじゃないかなぁ。

 

いつでも、日々、あったかく背中を押せる親でありたいなぁと思います。なんてね。ふへへ。

 

…すみません、お話の本編はこんな辛気臭い説教臭い話ではありません。ただただカワイイよ!元気になるよっ!!

 

 

それにしたって、

 

「ぼくのとなりに おいでよ」

「わたしのところへ いらっしゃい」

「ここが あいているよ」(本文より)

 

子どもの優しさって、なんてあったかいんだろうなぁ。

 

日々頑張っている&これから頑張る保育園や幼稚園の子どもたちに。

お子さんが保育園や幼稚園で頑張っている、パパ、ママたちに。

 

『こぶたほいくえん』 1978年

発行所 福音館書店

中川李枝子 ぶん/山脇百合子 え

 

 

かばんうりのガラゴ

『かばんうりのガラゴ』 島田 ゆか

 

パパと図書館に行って来た息子。ニヤニヤしながら嬉しそうに「じゃーん!」

 

おおお!ガラゴだ!!!息子の大好きな島田ゆかさん!!!

 

図書館でも島田ゆかさんシリーズは人気で、借りられていることもしばしば。ついにガラゴを借りられたのね~!よかったね!

 

 

 

ガラゴは、旅するかばん屋さん。もしかしたら品揃えは世界一。「ガラゴのかばん」と書かれた旗の付いたトランクの中には、あら不思議、あんなカバンやこんなカバン。その四次元に繋がっているとも思えるトランクは、時にガラゴのベッドにもなっちゃう。犬のかばんに、ライオンのたてがみかばん、おたまじゃくしを運べるかばん…どんなかばんもお手の物。いつでもどこでもお客さんのリクエストに応えて、欲しいかばんを見繕ってくれる。

 

あぁ~島田ゆかワールド!!やっぱり面白い。お話も、絵も、世界観も。すてきなアイディアかばんがたくさん出て来るんだけど…そのどれもが、カバンである必要ある…!?というスペシャルな代物。なんでかばんをテーマにしたんだろう…でもやっぱり、あれも、これも「かばん」っていうのが、ワクワクするんだろうな。

 

わらしべ長者のごとく、かばんのお代としていただいたものが、次々と役立っていくのも素敵♡

 

犬のぶーちゃん!に、 

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バムケロで見たことあるキャラも、いっぱい!(名前、調べてみよう!)

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ガラゴがかわいいのはもちろん、たくさん出て来るゲストとサブキャラにも癒されます。

 

 

ガラゴは右足に赤・左足に青の靴を履いているのだけれど、トランクにも同じ靴を履いた足が付いている。だから、トランクを引く時の音は、ガラガラ、じゃなくて、ペタペタ、なんじゃないかな、って、脳内でアニメーション化して、母ちゃんニヤニヤしちゃいました。

 

ああ!もう、超かわいい。

 

『かばんうりのガラゴ』 1997年

発行所 文溪堂

島田 ゆか 作/絵

 

ごめんやさい

『ごめんやさい』 わたなべ あや

 

年中さんになって以来、息子から「〇〇先生(担任の先生)がごめんやさーい!っていう本読んでくれるんだよ~」という話を聞くこと数回。どうやらお気に入りの模様。行きつけの図書館に行く度に探していたのだけれど、なかなか見当たらず、検索したら蔵書なし。オーゥ!今日は違うのを借りよう、ということ数回。なんとな~く、ずっと、気になっていた。

 

そしたら!先日、本屋さんでウロウロしてたらビビビッと目に飛び込んで来たのよね。

 

そうだそうだ!これだ!

 

迷わずゲットいたしまして。

帰ってすぐに、ママから絵本のプレゼントがあるんだよ~と言ったら、「えっ!バムとケロ!?」って別な期待をさせてしまったのだが!

じゃじゃーん!満を持して『ごめんやさい』の登場。

「えぇ~!なんで~!お家にあるの~?ぼくの~!?」と言ってニヤニヤ喜んでくれました。絵本のプレゼントってなんかいいよね。ぼくの、わたしの、絵本。

ママも嬉しいよ。うへへ。

 

 

表紙には、ペコリと頭を下げる野菜たち。

「ごめんやさい」は、「ごめんなさい」と野菜をかけているんですね。いや、誰でも分かるな♡

キュートな野菜たちが、失敗したり、調子に乗っちゃったり。

その度に「ごめんやさーい」「いーいーよー」で仲直り。

 

 

子どもの文化として、「ごめんね」って言えたら、「いいよ」って言う、みたいなの、あると思うんだけど…いや、もしかしたらオトナがそう仕向けているのかもしれないけれど…幼稚園の時期はまだしも、小学校くらいになると、そんなんすぐ許していいんかい!!とか、それはさすがに許せないよなぁ!!とかいうこともあるし、時と場合にはよるけれど…やっぱり、そういう寛容さというのは、持ち合わせておいた方がいい、というか、その方がこの世の中で生きていきやすいとは思う。言いたいことは言えたほうがいいけれど、とりあえず受け止めてみる。受け入れてみる。もちろん無理して全部飲み込むことはないけれど…。まぁ、私は寛容な人が好きだし、できるだけ寛容な人間でありたい。私は、よ。

 

「ごめんやさーい」「いーいーよー」

幼稚園でもきっと、みんなで絵本を読みながら、練習したりするのかな。

その善し悪しは、また別の問題として…とにかく野菜、かわいいっす!正直、大事っす!!!!

まぁ、とにかくかわいい絵本なので、そんなメンドクサイことなんて考えず、説教臭くならないように十分注意を払いまして、ただ、ただ、楽しんで読みたいと思います。反省。

ちびっこが笑える素敵ユーモア。シリーズ本も探してみよう。

 

 

 

さてさて、私も、最近なかなかブログ更新できなくて、ごめんやさーい…!

 

読書の秋特集をやりたいなぁと思っていたのだけれど、ちょっと難しくなってしまった…来年はやりたいぜ。

 

しばらくペースは遅くなってしまいそうだけれど、牛の歩みでしつこく歩み続けますので気長にお付き合いよろしくお願いいたします。

 

『ごめんやさい』 2013年

発行所 ひかりのくに株式会社

絵 わたなべ あや

文・企画編集 窪田 愛 

 

 

うし

『うし』 内田麟太郎/詩  高畠純/絵

 

“うし うしろをふりかえった”(本文より)

 

 

 

「うし うしろをふりかえった」

 

ああ、この一節だけで捉まれる。

 

まあ、ネタバレ的に言ってしまえば、うしがうしろを振り返ったらうしがいるんだけど、そのうしろにもうしがいて…

 

 

児童文学雑誌・こども文学の実験『ざわざわ』第2号に初出したという内田麟太郎さんの「うし」という詩に高畠純さんが絵を描いている。

 

『ざわざわ』、ちょいくら調べてみましたら、あまんきみこさんやら内田麟太郎さんやら、児童文学にまつわる大人たちを巻き込みながら、ざわざわ楽しそうに創り上げた雑誌のようにみえる。ビッグネームが載っても、媚びない系。いい大人が、ただただ楽しそうに遊んでる系。いや、読んでないからわからんけど!そんな印象。ちょっと読んでみたい。高畠純さんも絵を描いているみたいです。

 

なんでしょうね、「五十音」を読んだ時に高畠純さんの描く絵に惹きつけられた私ですが、高畠純さんの絵、やっぱり、いいなぁ。

詩の面白さに拍車をかけるような牛のとぼけた表情が何とも言えない。ゆるい。でもなんかマジメ。絶妙。

ああもう、牛の顔見るだけで笑えるからズルい。

 

そして、最後のページに縦書きで、ザ・詩として書かれた「うし」がまた、全文通して素晴らしい。

 

ええ、もう、これは、国語の教科書に採用しましょう。

 

学習発表会で暗唱しましょう。遊びましょう。

 

『うし』 2017年

発行所 アリス館

詩 内田麟太郎

絵 高畠純

 

 

ショベルカーがやってきた!

『ショベルカーがやってきた!』 スーザン・ステゴール 作  青山 南 訳

 

重機!!!!!好きよね。男子。

おかあさんといっしょ”にも『ジューキーズこうじちゅう』っていう重機をフィーチャーした曲があるよね。んもう、NHKさすがっすよね。

 

『ショベルカーがやってきた!』には、ショベルカーはもちろん、ブルドーザーにダンプカー、ミキサー車、クレーン付きトラック、クレーン車、ローラー車…いろんな重機が出てくる。建物を壊して、土をならして、建材を運んで…人々が重機を使って様々な仕事をして、そこにお家ができあがるまでの様子が描かれている。

 

原題は『THE DIGGERS ARE COMING!』

“digger”の和訳は掘削機、とな。掘削機は、土砂や岩石を掘削したり掘削して積み込む建設機械の総称、とな。…ショベルカーだな。そうだな。Dig!

 

この本のすーごく素敵なところは、コラージュによって、重機たちや建物、建材、コンクリート、土に至るまで、とにかく質感がリアルに表現されているところ!キャタピラは本当にデコボコ素材でできているし、ぽこぽこした緑地帯も、ぼこぼこの土も、ビルの窓枠も、もくもくの雲も煙も、人々ひとりひとりまで、本当に立体的。クレーンも骨組みを本当に紙で組んでるから、すーごいリアル。私のお気に入りは、ローラー車で均したぺらぺらの土の質感。なんだこの表現。天才か。

作者のスーザン・ステゴールさんは、小学校教師だったのだそう。何だかちょっぴり親近感。 

文字の配置も面白い。これはもう、さすが外国、っていう感じで、生き生きと言葉が飛び込んでくる。ぜひ一緒に文字をなぞりながら、臨場感を楽しみたい。

 

レンガ造りで、日本とは家の建て方も違うけれど、工事の様子は意外と同じ感じなんだなぁ、というのも嬉しい驚き。レンガとか積んじゃうのね!地震っ!…は、そんな来ないもんね。日本の住宅工事の工程と比べてみたいような気もしますな。

 

上質で、ワクワクして、いい絵本だなぁ!じっくり見るのが、おすすめです。

 

『ショベルカーがやってきた!』 2013年

発行所 ほるぷ出版

作…スーザン・ステゴール

訳…青山 南

 

…やっぱり”すけたく”が好き…♡

ぼくはヨハネス・フェルメール

『ぼくはヨハネス・フェルメール』 さく・林綾野 え・たんふるたん

 

芸術の秋、だからでしょうか。なんだかアートに心惹かれる今日この頃です。

 

ヨハネス・フェルメールといえば、言わずと知れたオランダの画家。光を巧みに描き、光の魔術師と呼ばれています。『真珠の耳飾りの少女』はあまりにも有名ですね。

 

この本は、フェルメールの一生について、フェルメール自身が、「ぼく」という視点で語っている1冊。生まれてから画家になるまで、画家としての日々、一人の人間としての葛藤、そして、その死後から現代まで。ぼく、が物語を語っていることで、昔、遠い国で生きていた画家なのに、なんだか、ぐっと、身近に感じられてしまう。

 

宿屋の息子だったこと、破天荒な親戚がいたこと、絵に触れながら育ってきたこと、反対されながらも愛する女性と結婚し、たくさんの子どもたちに恵まれていたこと、いろんな想いを込めて絵を描いていたこと、悲しみや貧しさを乗り越えながら生きていたこと、死後も家族にはいろんな困難が待っていたこと…

フェルメールの死後、妻は子どもたちと生きていくためにフェルメールの絵を手放し、破産申告をします。皮肉にも、その破産申告の調査によって、フェルメールの家の間取りや家具、絵の道具などの記録が現代にまで残されていたようです。

 

フェルメールのことなんて全然知らなかったけれど、なんだかとても愛おしく、魅了されてしまいました。

 

ラピスラズリを砕いてつくるフェルメール・ブルー。絵の具って、自分で作るものなのね。そりゃあ、絵の具のチューブをブチュー、ではあの美しい色が出せないわけです。

でもさ、やっぱり、あの色こそが、絵を輝かせ、唯一無二の存在感を際立たせているのだと思う。魅力的。見とれてしまいます。

 

本編の後ろには、有名作品の解説や、全作品の一覧、フェルメールにまつわるミニエピソード、年譜など、愉しいおまけ(おまけじゃないと思うけど!)も。

 

絵も、言葉も、フォントも、白地の色の美しさまで。なんでしょう、ゆっくりとページをめくっていく度に心が揺れ、満たされていくような、とても上質なひとときでした。

 

易しい言葉で書かれているので、子どもにも読みやすいとは思いつつ…

秋の夜長に、お茶でも飲みながら、一人でゆっくり読みたい1冊。

 

『ぼくはヨハネス・フェルメール』 2014年

発行所 美術出版社

作 林綾野 

絵 たんふるたん