絵本ライブラリー 読む、残す、思い出す

2020.4.1スタート。元小学校教諭,小2&2歳兄弟育児中の筆者が,読み聞かせをした絵本を中心に書籍の記録・紹介を行っています。自分と、子どもたちと、本との軌跡を記しておきたい。筆者の肌感覚によるカテゴライズもしております。昔の記事も振り返って楽しんでもらえるブログを目指したい。

こりゃなんだうた

『こりゃなんだうた』 谷川晃一 作

 

『へんしーん』

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の谷川晃一さん。

 

味のある、なんとも魅力的な絵。

 

「ありゃなんだ

 こりゃなんだ

 コックさん

 

 りょうりつくらず

 テニスする

 そりゃへんだ」(本文より)

 

物語はこの歌のリズムで進んでいく。

コックさんにカメラマン、帽子屋さんにおすもうさん…この町の人たちは、どうやら、なんだか、変みたい。

コミカルな絵に、奇想天外な発想。息子ゲラゲラ。あっという間に読み終わって、もう一回。

靴屋さんが作った長すぎるブーツをキリンがこっそり履いているのもニヤニヤしちゃう。

何回も読んでると、自然とメロディーが付いてくる。

「うた」っていうくらいだから、自分で勝手に自由に歌ってみるくらい、谷川さんも想定内なのだろう。

自分の好きなように読んでみたら、歌ってみたら、楽しいんじゃないかな。

 

語るように歌い、歌うように語る。

ぼそぼそ喋ったり、大げさに読み上げたりしているうちに、その言葉に合ったメロディーが向こうからやってくる。(ほんとか。)

 

とりあえずあたくしもここだけメロディー確定しました。

♪そりゃへんだぁ~(sslsd~)

 

『こりゃなんだうた』 2013年

発行所 福音館書店

谷川晃一 作 

 

くんくん、いいにおい

『くんくん、いいにおい』 たしろ ちさと え

 

クラッカーの敷き詰められた表紙に、くんくん匂いをかいでいる男の子と犬。

この背景、旧ヤマザキナビスコのプレミアムクラッカーらしいよ!

ちなみに私は時々沢口靖子のモノマネをするんだけど“ルヴァン、ヤマザキビスケット”の一節だけ似てるって家族が褒めてくれたよ!ふふ。

さて、その二人の幸せそうな表情はクリムトの『接吻』すら思い出させる。かわええ~。さぞかしイイニオイなんでしょう。ニオイってカタカナで書くと臭そうだな。いいにおい。イイニオイ。どう?

 

The Sense of Smellって書いてあるし、フォントもそれっぽいし、外国の絵本かなぁ、と思ったら!日本の絵本でした!ワオ!

 

 

男の子と犬がくんくん匂いをかいでいる。その先にあったのは、焼き立てのパン。

あぁ~、いいにおい。

くだもののにおい、ごはんのにおい。

うれしいにおい、きもちいいにおい、たのしいにおい。

気持ちにも、匂いって、あるのかなぁ。あるのかも。

おとうさんのにおい。おかあさんのにおい。安心する匂い。

 

匂いは、記憶と強く結びついている。

音楽室の匂い。部室の匂い。学校の匂い。おばあちゃん家の匂い。

♪ドールチェアーンドガッバーナーの…

まさにですね。

 

ページをめくると、本当にその匂いを感じられるような気がした。特に私が強く感じたのは、お味噌汁の匂い、ご飯の匂い、お魚の匂い、あったかいお湯の匂い、鉄の匂い、土の匂い、海の匂い。息子は、どんな風に感じて読んでいたんだろう。

まるで本物のパンの匂いを嗅ぐように本の匂いを嗅いでいた彼は、パンの匂いを、その安心感を、思い起こしていたのだろうか。

 

奥付には“BOOK OF SENSE SERIES①”と書いてある。調べてみたら、他にも聴覚、味覚、触覚、視覚、感覚に訴えるシリーズがあるみたい。感覚を育てていくって、素敵なこと。

そういう意図のようなものが、覚悟のようなものが、感じられる1冊でした。

 

うん。もう一度パラパラめくってみたけれど、やっぱり匂いが呼び覚まされていく…!!!

すごいねぇ、絵って。すごいねぇ、人間って。

 

『くんくん、いいにおい』 2006年

発行所 グランまま社

絵 たしろちさと

 

 

うさこちゃん びじゅつかんへいく

うさこちゃん びじゅつかんへいく』 

ディック・ブルーナ ぶん/え  まつおか きょうこ やく

 

ミッフィーちゃん!

物語では、“うさこちゃん

前はテレビでもアニメが放送されていたけれど、最近はみないですね。

あの独特な空気感…好きだったなぁ。小学生の時、うさこちゃんの頭声発声とか喋り方とかマネした記憶がございます。

 

 

もう10月。芸術の秋。アートの秋。

 

美術館、好きです。

でも、元気坊主がいるとなかなか行けないのも事実。

私も子どもの頃、母に美術館へ連れられて行くと暇で暇で暇で嫌で、椅子に座ってゴロゴロしたり、早く行こうよって駄々こねまくったりしていたな…今なら感じ得たいそのひとときを味わえなかったカワイソウな奴。母、ごめん。やっぱり美術館は少し「オトナ」な場所なんだと思います。

 

 

ある日、うさこちゃんは家族で美術館へ行くことに。

“うさこはちいさすぎるんじゃないかね”とお父さんは言うけれど…

美術館に展示されている絵や彫刻は、本物そっくりだったり、きれいだったり、ユニークだったり。うさこちゃんは、いろんなことを思いながら、作品を味わっていく。

 

 

いやぁ、かわいい。かわいいねぇ。やっぱり、ブルーナの絵本は美しい。

私は特に、お父さん、お母さん、うさこちゃんの3ショットがすごく好き!アートって、バランスだと思う。その配置が、構図が、色遣いが、たまらなくかわいい。

オランダにミッフィーミュージアムがあるのよね。鈴川絢子さんの動画で観ました。

いつか行ってみたいなぁ…!!!

 

 

この絵本、表紙を開くと、名前を書く欄があるのよね。

 

私の、本。私だけの、本。

 

なんか、いいよなぁ。

 

子どもの頃は、私も絵本に名前を書いたりしたっけな。

あああ、思い出した…!私は「ゆう」という名前で、今でこそ自分の名前も好きになったけれど、当時はこの名前が嫌で嫌で、女の子らしい名前に憧れていたのだ。ある時、幼児向けの雑誌(「めばえ」とかそういうの)を買ってもらうと、名前を書く欄があって、「かなえ」って書いちゃったの。笑

かなえ、って!

かなえになりたかったんだね、私。

かなえ、もいいけど、ゆう、でよかったです。

お父さんお母さん、名前を付けてくれて、ありがとう。

名前は、人生最初のプレゼント、って言うよね。

かく言う私は曲を書くとき一番悩むのが曲名で、決められないから他人に決めてもらったりしてね。その場その場で適当に答えるから曲名がコロコロ変わったりしてね。

名前って、責任があるからね。責任を取りたくないのかもね。

 

 

 

何はともあれ!

かわいい1冊です!表紙がとっても素敵だから、飾るのにもいいかも。

 

うさこちゃん びじゅつかんへいく』 2008年

発行所 福音館書店

ぶん/え ディック・ブルーナ  やく まつおか きょうこ

 

 

 

【お月見の夜に】

今日は番外編です。

 

 

このところ、夜はもう、ひんやりと涼しくなって、すっかり秋めいてきました。

そして、今日は待ちに待った十五夜のお月見!綺麗に見えるかなぁ~!?ひゃっふぅ!!

中秋の名月って9月じゃないこともあるのね。30過ぎにして初めて知った!いつまでも勉強DESU。

保育園の帰りにスーパーに寄ったら、ワッショイお月見な気分になって、楽しく秋のお買い物をしてしまいました。むはは!

 

栗!!!

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甘栗さえ、むいちゃいました的なの買っちゃうくらい面倒くさがりのくせに、 ネット入りの生の栗を買ったぞ!!!!

クックパッドで炊飯器で茹でる方法を調べて、茹でてみました。ただ今、蒸らし中。食べるのが楽しみ~!

ちなみに画像は、「どれが本物かなぁ~!?」と言いながら栗を調べて回る坊主の手です。全部本物だよっ!!!

 

 

そして、月見といえばお団子だっ!

白玉粉でも買って、お団子でも作るかぁ~!と思ったが、私が思うくらいなんだから、世の中のみんなも思うよね、そうだよね。白玉粉の棚はすっからかんでありました。切って茹でるだけ、っていうお手軽白玉商品も見つけたが、もう面倒になったので、和菓子コーナーへ。ぐふふ。

 

じゃじゃーーーん!!!

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かわいい~~♡イベントは財布の紐が緩む…いいんです、これは経済の活性化です。情操教育です。楽しいからいいんです。毎日弁当作ってるんだから今日くらいいいんです。そうなんです。

写真撮るために上にかかってるフィルムをはがしたら…

うさぎさんの顔ごと剥がれた~!!!

顔はフィルムに印刷されていたのね。

ぼくがうさぎさんを食べたい、とのことなので、ゴールデンボールは彼に譲ってあげることにしよう。フィルム剥がしたらただの黄色い丸い塊だけど。

 

 

そして何よりテンションが上がったのは、すすき!!!

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ご自由にお持ちください、とのことだったので、喜んでいただいてきました。

後ほどお月見で愉しみたいと思います。

 

 

 

転職して、こういう時間を、こういう心のゆとりを楽しめるようになったことが、本当に、嬉しい変化。

教員として働いていた時こそ、こういう時間が必要だったのかもしれないけれど、私にはそれを捻出できるスキルと図太さが無かったなぁ…なんとなく胸がちくりと痛む、カイシャイン半年記念日。

失ったもの。得たもの。それを携えて、ずっと、生きていくんだろうな。

 

 

 

長い年月を経ても、人々を魅了し続ける、月。

まだまだ絵本記録歴は浅いですが、ここまでに読んだ、月にまつわる絵本をご紹介します。

 

荒井良二さんの美しい色遣いと温かさを愉しむ一冊。

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お月様が一生懸命働いている姿を想像してワクワクしちゃう一冊。

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jazzyなブルーノートが聴こえて来そうなオシャレでカッコいい一冊。

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月のスポットライトに胸を突き抜かれるような、悲しみと、希望と、愛の一冊。

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これもお月見シーンが出て来ますよん!

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秋の夜長。月の魅力に想いを巡らせよう。

 

そして、おいしいものを、食べよう!!!!!!じゅるり!!

めくってごらん

『めくってごらん』 accototo ふくだとしお+あきこ

 

かわいい表紙。

『あいすくりーむにありをのせたらあいうえお』☟

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 の、accototo ふくだとしお+あきこさん作。

 

 

すこっぷ の なかに かくれているもの なーに?(本文より)

 

 

すこっぷ…すこっぷかぁ…

 

ページをめくると…

 

すこっぷの“す”が隠れて、「こっぷ」になっちゃった!

 

な~るほど、めくってみたら分かる、ことばのかくれんぼ。

 

れすとらん、かれーらいす、ゆうえんち…どんな言葉が隠れているか、分かる??

 

めくるドキドキ、どの言葉が隠れてどの言葉が残るのかソワソワ、全然違うものになっちゃうワクワク。楽しいしかけだなぁ~!

「おもしろ~い!!!」と言いながら、ページをすぐにめくらずにはいられない我慢できない息子…余韻を味わえないままザクザク進んでいきました…笑

 

オチまでグー!

ビビットな色合いのコラージュが素敵でした。

 

○○ごらんシリーズが他にもあるらしい!チェックしようっ。

 

『めくってごらん ことばのかくれんぼ』 2019年

発行所 イースト・プレス

作・絵 accototo ふくだとしお+あきこ

 

 

ぱんつさん

『ぱんつさん』 たなかひかる

 

これは、息子に絶対ウケるだろうなぁと思った。

だって、表紙がすでに面白い。題名がすでに面白い。

おしり、とか、そのモノにはちょっぴり恥じらいのある私ですが、パンツは、笑える。パンツは、愛せる。

パンツって、なんで面白いんだろう。

なぜか笑えてしまうパンツ。愛しいパンツ。いろんなパンツが出てきてゲラゲラ笑ってハイおしまい!な楽しい本だろう、と、高を括ってページをめくる。

 

と、

 

あれ?

 

もこ もこもこ?谷川俊太郎

 

いえいえ、地面から出てきたのはパンツをはいた4人の男たち。

 

パンツ一丁で準備体操~。かわいい。ああ、やっぱり癒し系の本か、と思う。

 

が、

 

「ん?」(本文より)

 

そのパンツ一丁男を包み込むほどの大きな手で、彼を持ち上げる巨人が。同じくパンツ一丁であったその大きな手の主は、先ほど準備体操をしていたパンツ一丁男を栓抜きにして瓶のフタを開け、ジュースを飲んでしまったのです…!

 

すると背後から太い縄が…さらに大きなパンツ一丁の巨人がジュースを飲むパンツ一丁の男を捉え、ネックレスのチャームにして縄に通し、これまたパンツ一丁の巨人友達にプレゼントしてしまう。

 

も、

 

「ん?」(本文より)

 

またしても、これまたパンツ一丁のさらなる巨人が彼らをつまみ上げて…

 

何だこの話は!!!!!あらすじが伝わってる自信がない!!笑

 

ツッコむべきは、もはやパンツではない。

 

自分には到底かなわない大きなものに操られ、目の前一面に見えていた世界が、ほんのちっぽけなものだったのだと、裏切られ続けていく感覚。

なんだろ、なぜか傷つきさえするような。笑

 

やばい、話じゃ、こりゃ。

 

息子は単純に楽しんでいたけどな!フハハハハ!

 

 

 

いつか、この世界は、とてつもない巨人に操られていて、ドールハウスのように、箱庭のように、人間は駒として扱われ、もてあそばれているのではないか、と妄想したことがある。

なんか、そんな感じ。

 

最後には、もはや、パンツなんかどーでもよくなっている。

 

でも、パンツの柄に、癒される。

 

ゆるい、問題作。

 

『ぱんつさん』 2019年

発行所 ポプラ社

作 たなかひかる

 

やさいばたけ カーレース

『やさいばたけ カーレース』 やぎ たみこ

 

もぐらカー、かえるカー、ねずみカー、うさぎカー、へびカー、かめカー。

動物たちが乗った6台の車が、野菜畑でカーレースを始めます。

畑にはいろんな野菜がたっくさん。温室コースや水中コース、もぐらは土の下も走っちゃうよ!間をすり抜けながら、ゴールを目指す。さて、優勝は誰の手に…!?

 

絵がかわいくて優しくて、野菜が畑にどんな風に植わっているのか分かるのが面白いなぁ~と思って母はこの本を選んだのだけれど、男児ど真ん中の息子は、カーレースに夢中。笑

「速い速い!」「かめ、遅いよぉ~!」「あぁ~~もぐら面白~~い!」

…楽しそうで何よりじゃ。

 

何回か繰り返し読んでいると母の言葉にも耳を傾ける余裕が出てきて、にんじんはどこ?れんこんはどれ?お花は何色?葉っぱはどんな形?な~んてクイズも楽しかったです。生活科!こういうことがやりたい母…いつまで付き合ってくれるのだろう…ありがとう息子…よろしく息子!

玉ねぎとねぎがすごく似ていることが大発見だったんだって。

この本を読んだ後に、はなかっぱで蓮根の話が放送されてて、「れんこんはどろの中にあるんだよね!」って言ってて嬉しくなった…むふ。

 

応援している動物たちの様子もすごくかわいいです。

個人的には、優勝賞品の大盛り野菜がすごく欲しい。ぴちぴちの野菜、萌えるわ。

 

裏表紙に描かれたレース後の打ち上げ・野菜たっぷりのごちそうパーティーがまたとっても素敵で、最後までほっこりさせてくれる絵本でした。

 

『やさいばたけ カーレース』 2019年

発行所 白泉社

著者 やぎ たみこ

 

 

どっちがへん?

『どっちがへん?』 岩井俊雄

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♪どっちがへんっ 

 どっちがへんっ 

  どっちがどっちがへんっ ピッ!

 

あーーー耳に残る!ハマってしまった。

 

手のひらサイズ・正方形の装丁。

ゆるい、かわいい絵。著者は100かいだてシリーズの岩井俊雄さん。

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左右のページに絵が描いてあって、どっちかの絵は、どこか変!

帽子が逆さまだったり、魚が空を飛んでいたり、鉛筆が二股に分かれていたり…

 

それを、♪どっちがへんっ、どっちがへんっ…と歌いながら見つけていくという1冊。

エンターテインメント間違い探しですねっ。

 

なんかも~、息子はドンピシャはまってしまったようで、毎日、毎日、毎日、読んでいる。

特に、虫網がズボンになっちゃった絵がお気に入りらしく、顔を歪めてヒーヒー笑っている。

幸せな奴!

 

リズムに乗って一緒に探すのはもちろん、「どこが違うの?」「何が変なの?」「どうしてそう思ったの?」と突っ込んで共有することが、認知機能の向上につながるかなぁと母ちゃんは心の奥底で皮算用をしている。

 

続編もあるみたいなので、チェックしてみます。

 

『どっちがへん?』 2006年

発行所 紀伊國屋書店

著者 岩井俊雄