『ぐりとぐらのおきゃくさま』 なかがわりえこ と やまわきゆりこ
11月に入り、街はクリスマスシーズンに突入。11月に入った途端だよね!少々早くないかっ!?近年、ハロウィーンが終わったら、もはやクリスマス的な流れになってきているような気がする。でも、私は、音楽も、飾りも、クリスマスの雰囲気がだ~いすきなので、本当に幸せな季節です。
クリスマスって、絵本もたくさんあって、わくわくほくほく。少しずつ読んでいきたいなぁ。
辺り一面雪景色の森で雪合戦をしていたぐりとぐらは、雪の上に大きな足跡を見つけて、その跡をつけていくことに。すると、たどり着いたのは、なんとぐりとぐらのお家!
大きな長靴に真っ赤なオーバー、真っ赤な帽子…ぐりとぐらの家にやってきた、大きな大きなお客様は、いったい誰なのでしょう…。
あぁ!まずもって、表紙のマントにブーツ姿のぐりとぐらが愛おしい。
そして、自分の家を目の前にして、
“なんだか みたことのある ばしょだね”
な~んて目をこすらないと我が家だって気付かないお二人…本当にお茶目だわ!
冬の絵本ならではでしょうか。言葉ひとつひとつも、ほっこりと温かく迫って来る気がする。
“きんボタンの ついた まっかな オーバー”に“えりまき”…オーバーとか、襟巻って、最近あんまり言わないよね。でも、コート、でも、マフラー、でもない、その言葉が、重厚に、耳を、心を温めてくれるような気がする。
このお話の最後の一文が、
「みんな おちゃを のみ、クリスマスの ケーキを よばれ、うたったり おどったりしました。」(本文より)
なのだけれど…“ケーキをよばれ”る…!?この表現、最初は分からなかったのだけれど、ちょいくら調べてみると、「よばれる」という言葉には「いただく」とか「ごちそうになる」という意味があるらしい。ほぉ~。ちなみにネットで調べると、他にも何人も「ぐりとぐらのおきゃくさま ケーキをよばれる」って調べていた模様。私だけじゃなくてよかった♡笑
時代とともに言葉が変化していくことは当たり前のことで、「りょ」だの「ま!?」だの、ファストな言葉も便利で親しみやすくてその尊さにも付いていかねばならぬとは思えど、温故知新、古から伝わる豊かな語彙は、やはり心を豊かにしてくれるような気がするの。古、じゃなくて教養の問題ダロと言われればそれまでですけれども。ノスタルジー。
扉絵には、暖炉の前で読書をする2匹が。ぐりとぐらの世界って、山脇百合子さんの絵って、丁寧な暮らしが垣間見えるのが、またたまらんのです。
さて、今年の我が家にも、あの素敵なおきゃくさまは来てくださるかなぁ。
『ぐりとぐらのおきゃくさま』 1967年(こどものともは1966年)
発行所 福音館書店
中川李枝子 さく 山脇百合子 え