絵本ライブラリー 読む、残す、思い出す

2020.4.1スタート。元小学校教諭,児童発達支援スタッフ,年長&0歳兄弟育児中の筆者が,読み聞かせをした絵本を中心に書籍の記録・紹介を行っています。自分と、子どもたちと、本との軌跡を確かめたい。筆者の肌感覚によるカテゴライズもしております。

へいわってすてきだね

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『へいわってすてきだね』 詩 安里有生  画 長谷川義史

 

終戦から75年が過ぎた。

テレビでもいろんな番組が組まれていて、戦争や平和に関する番宣が目に付いたここ数日。

 

図書館で、ふと、戦争や平和を考えられるような本を読もう、と思ったとき、

『ねこのピート』☟ 

bg8qp.hatenablog.jp

長谷川義史さんのプロフィール欄に、「ユーモア」「家族」「命」というキーワードがあったことを思い出した。

 

“戦争”という二文字は、私にとっては、どうしたって、胸にグッサリと刺さって来るキーワード。○○す、とか、○ね、とか、子どもの頃は口に出すのも怖い言葉がいっぱいあったけれど、戦争、も、それに近いような、怖い言葉。

ハリーポッターの“ヴォルデモート”的な。いや、違うか。

子どもの頃~学生の頃は、人間が起こしてしまったとてつもなく恐ろしい“戦争”というものについて、絶対に繰り返してはいけないものとして、知りたいと思ったし、調べたいと思っていた。教科書、本、テレビ、ドラマ、映画。

前に『字のないはがき』☟

bg8qp.hatenablog.jp

で、ちらっと書いたけれど、戦後50年、という数字が私にはすごく印象的で、計算すれば私は当時小学校低学年だったということなのだけれど、カトリック系の幼稚園に通っていたからだろうか、時代のせいだろうか、今よりもっと戦争と平和の話をたくさん耳にした気がするし、学校でも戦争の話を聞いたり本を読んでもらったりしていた気がする。そんな中で、少女だった私は、戦争とか、飢餓とか、人々が争わずに生きられる世の中を、心の底の底から願っていた。寝る前には、時に涙をこぼしながら、神様にお祈りをした。人々が争い合うということ自体が、私には信じられないことだった。

 

高校の合唱部では、広島の原爆が題材となっている『八月の歌』を歌った。作曲は母校の名誉教授である本間雅夫先生。新曲を書き下ろしていただき、演奏も聴いていただいた。カナダで行われた合唱祭でも歌った。その年のコンクールの全国大会の会場は広島だったから、運命だと思ってどうしても行きたくて、みんなで頑張ったなぁ…結局は東北大会銀賞で終わってしまったけれど、今も毎年8月6日には広島のことを想う。

今となっては、本当にすごい経験をさせていただいたのだなぁと思う。顧問の先生、すごいなぁ。今、私にできることとは。モヤモヤぐるぐる、お腹の中に大きな穴が開いて引きずり込まれそうになるけれど、それはまた別の話。

その年の夏休みの宿題では、大江健三郎の『ヒロシマ・ノート』を読んで読書感想文を書いたっけな。

修学旅行は沖縄。ひめゆりの塔。戦争に巻き込まれたのは、かわいそうな昔の人、ではなく、普通の、すぐそこにいるような少女たちだった。

世界史の課外では、NHKアーカイブスを観まくった。課外のチーム名は、チーム・カニバリズム。すげぇ名前だな。大意はないのですが。先生、みんな、お元気ですか。

その他にも、アンネの日記ひろしまのピカ。火垂るの墓さとうきび畑の唄この世界の片隅にライフ・イズ・ビューティフル。…たくさんの作品たちが、やっぱり、どっしりと、胸の奥に忘れられずに、ある。

 

 

けれど、本を読もう、と思った今。自分なりに必死に生きる日々。“戦争”ど真ん中の話は、なんだか辛くてね…息子には、まだ、少しだけ早いし。

…そこで、思い出したキーワードが、長谷川さんの「ユーモア」「家族」「命」。

予感は的中。長谷川義史さんの本棚に行ったら、今の私に、ぴったりなタイトルの本を見つけることができたのでした。 

 

 この詩を書いたのは与那国島の小学校に通っていた、当時1年生だった安里有生(あさとゆうき)くん。沖縄県平和祈念資料館が募集した「児童・生徒の平和メッセージ」にて、安里くんの『へいわってすてきだね』が、小学校低学年・詩の部門で最優秀賞を受賞し、安里くんは、沖縄県戦没者追悼式でこの詩を朗読。沖縄のおじい、おばあが涙を流して聞いていたそうです。安里くん、今は中学生になっているのかな。

 

「へいわって なにかな。

 ぼくは、かんがえたよ。」 (本文より)

 

毎日を幸せに暮らすこと、与那国島の日常の風景、友達との日々、嬉しいこと。そして、戦争の悲しさと、平和な暮らしができる喜び、未来への希望。

1年生の少年が見たこと、感じたことが、やさしい言葉で、素直に、まっすぐ、書いてある。

長谷川義史さんの絵は、詩に寄り添うように描かれていて、心が、言葉が、迫って来るみたい。二人のコラボレーション。とっても良い作品だなぁ。

実際に安里くんと長谷川さんは顔を合わせていて、作品にはツーショット写真も載っている。自然で、気取ってなくて、いい写真。年は離れているけれど、長谷川さんは安里くんに友情を感じたのですって。長谷川さんのあとがきが、また、とっても素敵でした。

 

 

 

2020年、夏。果たして、今は、平和と言えるのだろうか。世界は、日本は、私は、平和へ向かっているのだろうか。子どもたちが生きる未来に、希望と幸せは満ちているだろうか。

 

確かなことは、お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃん、ひいおじいちゃんひいおばあちゃん…みんなが命をつないでくれて、育ててくれて、今、自分がここにいるのだということ。息子がいてくれるということ。もしかしたら、この先も、命が続いていくかもしれないということ。そうでなくても、生きて、ふれあって、想いを伝え合った誰かが、必ず命を繋いでくれるはずだということ。

人間とは、想像するだけで圧倒されてしまいそうなほどの、想いの塊なのだと思う。

今がうまくいっていても、そうでなくても。頑張ってても、頑張れなくても。あなたが、そこにいてくれることが、尊い。生きていてくれることが、嬉しい。

 

その命を、奪い合うようなことは、絶対あってはならない。

 

みんなが、みんなが、幸せな世界。

それって、無理なのかなぁ。そんなに、難しいことなのかなぁ。ちっぽけな私には、何ができるのかなぁ。

 

襟を正す8月。

 

『へいわってすてきだね』 2014年

発行所 ブロンズ新社

詩 安里有生  画 長谷川義史