絵本ライブラリー 読む、残す、思い出す

2020.4.1スタート。元小学校教諭,小3&3歳兄弟育児中の筆者が,読み聞かせをした絵本を中心に書籍の記録・紹介を行っています。自分と、子どもたちと、本との軌跡を記しておきたい。筆者の肌感覚によるカテゴライズもしております。昔の記事も振り返って楽しんでもらえるブログを目指したい。

おなじ月をみて

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『おなじ月をみて』 ジミー・リャオ 作 天野健太郎 訳

 

作者は台湾の絵本作家、ジミー・リャオさん。

 

主人公のハンハンは、いつも窓の外を見て待っている。水色の台に乗って。

 

ハンハンのお家には、いろんな動物がやって来る。

ライオン、ゾウ、ツル…

みんなどこかケガをしていて、ハンハンは優しく手当てをしてあげる。そして一緒に同じ月を眺める。

 

そして、ある時、待ちに待っていた人が帰ってきた…!

 

 

 

動物が来るたび、月が満ちていく。

月が円くなる頃、やって来たのは、戦地から帰ってきたパパ。

 

あたたかく、平和で満ち足りているように見えるハンハンの家と、迷彩柄の軍服を着たパパのコントラスト。月のスポットライトを浴びて、これ以上無いくらい力強く抱きしめ合うハンハンとパパとママ。ハンハンとママの安堵の顔。

 

感動と安心と同じくらい、ショッキングなシーンでした。

 

そうか。

 

パパは戦争へ行っていたのか。

ハンハンはずっと、パパを想って月を眺め続けていたのか。

表紙と裏表紙をめくると、まだ100までしか数えられないのかなぁ、ハンハンの拙い文字で、1、2、3…100まで行ったらまた、1、2、3…数字が延々と描かれている。パパに会える日を数えていたのかなぁ。

 

帰ってきたパパは、大きな大きな、大きなケガをしていた。ハンハンは、動物たちにしたのと同じように、優しく手当てをしてあげる。

 

 

今、現時点では、全世界が全ての国が戦争をしている状況ではない。コロナの危険性という意味では、今はどこも非常事態ではあるけれど…。

ある場所では、安全な、幸せな暮らしをしている人がいて、ある場所では、命を危険にさらして、必死に生き抜いている人がいる。

 

月をテーマに借りてみた本だったけれど、平和を、家族が一緒にいられる尊さを、ビシバシと感じて、ぐわっと胸がつかまれるようでした。

 

 

 

地球のどこからでも、見えるのは、同じ月。

 

奪い合わなくったって見える、空の月。

 

私も、あなたも、みんな同じ月を見て、同じように想いを巡らせているんじゃないのかなぁ。

 

同じ月を見ている仲間同士が、どうして争わなきゃいけないのかなぁ。

 

それぞれが、それぞれに、それぞれを尊重し合える世界って、難しいのかなぁ。

 

それでも、信じていたいよなぁ。

 

『おなじ月をみて』 2018年

発行所 ブロンズ新社

作 ジミー・リャオ 訳 天野健太郎