絵本ライブラリー 読む、残す、思い出す

2020.4.1スタート。元小学校教諭,小3&3歳兄弟育児中の筆者が,読み聞かせをした絵本を中心に書籍の記録・紹介を行っています。自分と、子どもたちと、本との軌跡を記しておきたい。筆者の肌感覚によるカテゴライズもしております。昔の記事も振り返って楽しんでもらえるブログを目指したい。

へび のみこんだ なに のみこんだ?

『へび のみこんだ なに のみこんだ?』 さく tupera tupera

 

近所の公民館に、週に1回だけ開く小さな図書室があります。

蔵書は少ないけれど、その分、選びやすい。

育休に入って平日に動くことができるようになったので、久しぶりに覗いてみました。

図書室には、私と、ベイビーと、ボランティアのおば様だけ。他の方との接触を気にせず、静かに本を選ぶことができました。

 

公共施設や公共のサービス、イベントって、とっても良いものもたくさんあると思うのだけれど、平日の昼間が中心となると(公務員の勤務時間のことを考えれば当然ね)、いわゆる土日休みの現役世代にはなかなか参加しづらい。一億総活躍社会、とかいうものを推進すればするほど、そういった公のサービスは働き盛りの世代には利用されにくくなるよね。お金をかけていることなのに、なんなら、今、その世代が納税してくれて成り立っているかもしれないのに、それってチョットもったいないなぁと思ってしまう。

みんなで集めた税金を使って行うからには、みんなが、公共のサービスを使いやすい世の中になったらいいのに。公のサービスを土日もやる、ということではなく、もっとフレックスに働くことが当たり前になって、平日の昼間にもっとみんなが動けるようになればいいのにな~

必要な仕事さえきちんと取り組んでいれば、出勤から退勤まで縛られる必要ないよな~

何ならみんなもっと勤務時間を短くすればいいのにな~

あとは、日本もシエスタを導入するとか。笑

今のご時世にはありがたいことだったのだけれど…閑散とした図書室を見て、そんなことを考えていました。

 

 

 

さてさて、話が逸れましたが、絵本のコーナーで目を引いたのが、この1冊。

横長だっ!つい手に取って開いてみました。

 

 

 

暗闇から現れた、一匹のへび。

 

“へび のみこんだ はらへったから のみこんだ なに のみこんだ?”(本文より)

 

何かを飲み込んだへびのシルエットは、デコボコ飲み込んだものの形に。いろんなものを飲み込んでどんどん大きくなるへび。しまいには、あんなものまで飲み込んでしまうのです…!!!

 

 

おもろーーい!!

 

「何を飲んだと思う~?」と、一緒にシルエットクイズ的に楽しめる。どんどんすごいものを飲み込んでいく驚き、そして、最後の、暗闇…。

 

読み聞かせに楽しい1冊でした!

 

白と黒のコントラストの中で、大きなへびが何でもかんでも飲み込んでいくので、息子はチョット怖い、と言っていました。さすがビビリ!!笑

 

コラージュがとってもきれいで、私は、うっとり。オシャレな色遣いでわくわくするよーー!!

作者はtupera tupera(ツペラ ツペラ)さん。亀山達矢さんと中川敦子さんによるユニットなのだそうです。『しろくまのパンツ』の人だ!

 

 

今回、図書室の1人3冊まで、という枠の中で、私の本1冊、子どもの本2冊を、と思っていたのに、どうしても絞れなくて3冊全部絵本を借りてしまったぁぁ。次回は大人の本も借りるんだっ…!!!

 

『へび のみこんだ なに のみこんだ?』 2011年

発行所 えほんの杜

さく tupera tupera

 

 

【雑記】LOVE♡絵本コラボグッズ!

先日、今6ヶ月になる赤ちゃんがいる大学の後輩から、我が家のベイビーへのギフトやお下がりをいただきまして、何かお返ししたいなぁ~と思っていたら!

かわいい靴下発見!!

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息子がベイビーだった頃によく読んでいた『がたん ごとん がたん ごとん』の靴下ぁぁ~~!!きゅーん!!

 

せっかくなので、絵本と一緒にプレゼントすることにしました。

早速パパ(こちらも後輩)が読み聞かせして一緒に読んでくれたらしい。嬉しい!

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他にも、いろんな絵本とコラボレーションした靴下があって、うちの息子たちにも、ついつい買っちゃいました。

『ねずみくんのチョッキ』とすごく悩んだんだけど…ポップなデザインが可愛すぎて、『きんぎょがにげた』にしました。金魚探して遊べるんだぜ!

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ベビー、キッズ、レディース、という3サイズ展開だったのですが、ビッグサイズなお兄ちゃんは足も大きく、もはやキッズの靴下だとすぐに穴があいてしまうので大人サイズで。

初めてのお揃い靴下!秋になったらたくさんはかせるぞ~♡わくわく!

 

 

そして後輩のベイビーちゃんは、ノンタン・ラブ♡ということだったので、ノンタンTシャツも一緒にフォー・ユー!

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Tシャツもいろんな柄があって、かわいかったよーー!!

 

ちなみに靴下は本屋さんで、ノンタンTシャツはアカチャンホンポで買いました。 

 

 

絵本とコラボレーションしてるグッズって、なんてかわいいんでしょう~!絵本と一緒に贈ることができるのもいいよね。

 

これからも嬉しい出会いを楽しみにしたいと思います♡

 

 

 

もうぬげない

『もうぬげない』 ヨシタケシンスケ

 

“ぼくのふくが ひっかかって ぬげなくなって、

もう どのくらい たったのかしら。”(本文より)

 

 

お洋服が頭と肩に引っかかったまま、ポヨンと丸いお腹を丸出しにしている少年。

 

お母さんがお風呂に入ろうって、急いで脱がそうとするもんだから、洋服がひっかかって、脱げなくなっちゃった。いろいろやってみたけれど、ちっとも脱げないみたい…このままずっと脱げなかったらどうしよう……! 

 

 

作者は、ヨシタケシンスケさん。言わずと知れた今をときめく絵本作家さん。小学生も大好き!

 

『もうぬげない』は、第9回のMOEの絵本屋さん大賞で、栄光の第1位を受賞した作品。

 

ベイビーの出産祝いで、音楽を共に紡ぐ相方様からプレゼントしてもらいました!

「持ってるかなぁと思ったんだけど…」

ううん!持ってなかったっっ!!!超うれしーーーー!!!!!

 

ベイビーが面白さを理解できるのはもう少し先の話なので、まずは長男と一緒に。幼稚園でも読んでもらっていたみたいで、表紙を見ただけで大喜び!私が読み始めようとしたら、先に声を出して読み始めたァァ~~!というわけで、前半は彼が、後半はママが読み手となって、お互いに読み聞かせをしました笑

 

やっぱり、面白いね~~!!!

洋服が脱げなくなっちゃった焦り!このままずっとこうだったらどうしよう…という絶望!!子どもの頃は、日常の中で、まさにそんなことに遭遇したり悩んだりしていたような気がする。

その着眼点、そしてそれを膨らませていく想像力…あああ、素敵ですヨシタケワールド。

そういえばさ、大人になると服が脱げなくなって泣いたりすることって無くなるよね。自分のサイズが分かって洋服選びが上手になったんだろうし、きっと体が成長しないからさ、気付いたら小っちゃくなってた!ってことも無くなったのかも。あ、でも、太ったらそんなこともあるかも!?

 

 

 

ずいぶん前に情熱大陸でヨシタケさんに密着した回を観たのだけれど、当時『おしっこちょっぴりもれたろう』の製作中で、漏れてるパンツのシミの色!形!にすごくこだわっていた姿が強く印象に残っている。素朴で易しく見える、その絵の、言葉の、文字の、絶妙な愛おしさが、完璧に練られ、追い求められた姿なのだと思うと、プロの腕の奥深さにただただ感服してしまう。

 

『もうぬげない』の絵も、本当に絶妙なのだ。形も、色も。

 

ちょっと前にEテレの美の壺でバレエを取り上げている回があって、その時にバレエの先生が「足よ!足!」と言っていた。人の動きで最も感情が出るのは、足、なんだって。

まさに『もうぬげない』は、足の動きの芸術。だって上半身は動かないんだから!!!

その足の、脚の、出で立ちに、”ぼく”の感情の全てが詰め込まれている。あああ、ヨシタケ様の手腕…!”ぼく”が、ものすごく愛おしくなります。

 

 

 

ヨシタケシンスケさんはたくさん本を描いていらして、その中には、すーごく面白いけれど複雑に入り組んでいる絵や言葉たちを眺めてムフフと拾い読むのが楽しくて、集団での読み聞かせはしにくい作品もあるように思う。

 

でも、『もうぬげない』は、1本のストーリーになっていて、楽しくて笑えて読みやすい!お話の長さもとってもいい!

みんなで笑って楽しめる、読み聞かせのテッパン本です。

 

読んだことがある人も、ない人も、ぜひ、「足」の可愛さに注目して読んでみてね♡

 

『もうぬげない』 2000年

発行所 ブロンズ新社

作 ヨシタケシンスケ

 

 

そらいろのたね

『そらいろのたね』 なかがわりえこ と おおむらゆりこ

 

絵を見て、「これ読んで!ぐりとぐらの人でしょう?」と、息子。

題字を読み、「なかがわりえこおおむらゆりこ」と作者を読めば、「やっぱり!!」と、ニヤリ。

ぐりとぐらは、彼の心の中にしっかりと染み込んでいるんだなぁ。

国語でも暗唱をしたりするけれど、何度も触れる言葉のリズムというのは、やはり音楽のメロディーと同じように、頭の、体の、どこかに、間違いなく深く刻まれていくのだろう。多読も楽しいけれど、やっぱり、繰り返し読むお気に入りの本、というのは、すごく大切な宝物なのだと思う。

bg8qp.hatenablog.jp

 

 

さて!そらいろのたね!

よく本棚とかにもあるし、タイトルも表紙も何度も目にしていたけれど、実は、わたくし、ちゃんと読んだのは初めてでした…!

 

 

野原で模型飛行機を飛ばして遊んでいたゆうじくん。飛行機が欲しい、ときつねに頼まれて、きつねの宝物のそらいろの種と交換することにする。ゆうじがそらいろの種を庭に埋めて水やりをすると、なんと、小さなそらいろのお家が土から顔を出した!水をやるごとに家はどんどん大きくなっていって…

 

なんじゃ~こりゃ~!ファンタジー

そしてなんて素敵なお家なのでしょう!

水色、じゃなくて、空色。

確かに、淡くなんかない、際立つようなスカイブルー。

どんどん大きくなって、どんどん窓が増えて、どんどんデザインが変わっていくのがまた、楽しい。

ちなみに、英語での題は”THE BLUE SEED”なのだそうです。

 

読んでいると、きつねの身勝手に母ちゃんはなんだか腹が立ってしまうのだが、最後は、やっぱりね、ほ~らみろ、という、なんだか昔話さながらの勧善懲悪、ハイ、とっぴんぱらりのぷう、みたいな。…勧善懲悪、とまではいかないか。魔法がとけて、おしまい、という、王道ファンタジーな物語でありました。

 

息子は、いろんな動物が出てくるのが面白かったそうです。オオカミが当たり前のようにみんなと一緒にいて怖がられてないのが不思議だったんだって!なるほどね~。

 

毎日暑いね!そして、毎日空がきれいです、@仙台。

 

想像を膨らませて、読みたい1冊。

 

『そらいろのたね』 1967年(こどものともは1964年)

発行所/福音館書店

中川李枝子 さく 大村百合子 え

 

おやつどろぼう【こどものとも2021年8月号】

『おやつどろぼう』 阿部 結 作

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こどものとも8月号です。8月生まれだから、やっぱりなんか8月、って嬉しい!

オバサンになったって、日常に誕生日が埋もれていく暮らしになったって、誕生日が来るっていうのは、やっぱりなんだか特別な気持ちになるものです。

 

 

 

表紙には、上等なバースデーケーキを切り分けたようなふっくらツヤツヤのいちごショートケーキ。

 

子どもたちが寝静まった夜、トイレに起きたアカーキーは、お母さんが一人でこっそりおやつパーティーをしているところを目撃してしまう。お母さんにベッドに追い返されても、美味しそうないちごのショートケーキが頭から離れないアカーキー。こっそり起き出して冷蔵庫の中を覗いてみると、冷蔵庫の奥には、なんと隠し扉が!そしてそこには、アカーキーのお目当てのケーキを盗んで運び出そうとする「しましま」たちがいたのです…!!!

 

 

 

 

しましま!かわいい!

 

特に、おしり!!

 

しましまが山のようなおやつの周りをぐるぐる回る様子は、チャーリーとチョコレート工場ウンパ・ルンパの如し。

 

アカーキーも同じ頭の形してるからだんだんしましまに見えてくる…!

 

冷蔵庫の奥に、こんな世界があったら…と、空想の世界に飛び出してしまいそうな、超・ワンダーランドな1冊でした。

 

私は、絵の雰囲気が、なんとなく外国の絵本みたいだなぁって感じたのだけれど、冷蔵庫の中身は、ザ・日本の冷蔵庫。細かいところも眺めて楽しい。

アカーキーの表情がまた、何ともかわいいです。

 

 

 

…子どもを寝かせておやつパーティーってさ…パパママあるあるだよねっ。むしろその時間こそが至福の時だよねっ。

作者の阿部結さんも、「絵本のたのしみ」に、子どもの頃、両親のパーティーを覗き見てしまったエピソードを寄せている。「おとなだけの時別な時間」を見てしまった衝撃は、まさに、お話のモデルになった体験だったのでしょう。

やっぱり、息子が寝静まった後に全身の力を抜いてダラダラ嗜むおやつ&お酒は最高に美味しいっっ!ベイビーがもう少し大きくなって、またそういう大人の時間を楽しめる余裕が出てくることを今から心待ちにしております…!!!笑

 

 

 

そうそう、先日の『うごきえほん』のリベンジすごろく、全身全霊で挑ませていただきました!!!長男、爆笑!!!よっしゃあ~~!!!

…まあ、長男の笑いの沸点がものすごーーく低いだけなんけどねっ

 

夕方の絵本タイムも時々やれてます!時々。

 

月刊予約絵本「こどものとも

『おやつどろぼう』 2021年8月号(通巻785号)

発行所 福音館書店

阿部 結 作

 

うごきえほん【こどものとも2021年7月号】

『うごきえほん』 こんどう りょうへい さく かきのきはら まさひろ こうせい やまもと なおあき しゃしん 

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こどものとも」7月号。

 

7月になっちゃった!

 

ページをめくると、躍動感あふれるオジサンたちの写真が、これでもか!これでもか!とこちらに語り掛け…いや、叫び掛けてくる。

 

そのオジサンたちは、ダンス・カンパニー、コンドルズ。知っている人も多いと思うが、私も正直久々にそのお名前を聞いたのでググってウィキってみた。

 

 

”コンドルズ(CONDORS)は、日本のコンテンポラリー・ダンスカンパニー。男性のみ学ラン姿でダンス・映像・コントなどを展開。国内ではダンスカンパニーとしては異例の渋谷公会堂で公演を行い、チケットを即完させた。海外公演も精力的に行っており、北米、中南米、東南アジア、中華人民共和国大韓民国など20ヶ国以上で公演。NY公演ではニューヨーク・タイムズ紙に「日本のモンティパイソン」と絶賛される。”(Wikipediaより 2021.7.2調べ)

  

あああ、そうだ、なんか学ランの男性が躍動感溢れさせながら画面を舞っている姿が、なんか、なんか、頭の裏側の方に貼り付いているのを見つけた。子どもの頃、公演のCMとかやってたかも!?その頃は若い男性グループでしたが、メンバーチェンジを経て今も絶賛活躍中だそうです。

 

 

「あるく」と言っても、歩き方はいろいろ。

がにまたあるき、るんるんあるき、かにあるき、どろぼうあるき…

「あるく」「すわる」「おす」「もつ」「とぶ」「なげる」「まう」…いろんな”うごき”にまつわる全身全霊のナイスポーズ・ナイスフェイスがたっぷり収められている。

長男は、「とぶ」のページが気に入って、「すきーじゃんぷ」と「そらをとぶ」のポーズに黒子がいることに気付いてゲラゲラ笑っていました。

夫が「そのシリーズ知ってる~」と言っていたのだけれど、『うごきえほん』の前に『ひともじえほん』『かげええほん』が出ていて、本作はシリーズ3作目なのだそうです。

 

やっぱり、すごく、キャッチ―!

体の動きというのは、美しいものだな、と、本当に思う。

動きを真似して楽しむ、というのはもちろんですが、その佇まい・表現の世界を眺めているだけでも素敵。面白い。

 

最後には「いちにちのうごきすごろく」というのが載っていて、双六をして止まったところの動きをしてみよう!というゲームになっている。

もちろんすぐに挑戦。やるからには息子を笑わせたいので本気で挑んだけれど、ベイビーが寝ていたし私も疲れている時だったからなんかイマイチだった!今読み返したらやりたくなってきた!!今日長男が帰ってきたらやろう!絶対笑わせてやるぜ!!

 

最近はなんだか絵本を読む時間が取れない日が続いているんだけど、長男をデジタルに子守りさせていることにも罪悪感を抱き始めたので、夕方に読書タイムを設けたい。母の目標!続けられるか!?

 

月刊予約絵本「こどものとも

『うごきえほん』 2021年7月号(通巻784号)

発行所 福音館書店

近藤良平

柿木原政広 構成

山本尚明 写真

 

 

あめのひの ぼうけん【こどものとも2021年6月号】

『あめのひの ぼうけん』 森 洋子 作

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もう6月も終わってしまうけれど「こどものとも」6月号です。

 

セピア色の表紙に、女の子の赤いお洋服が映える。

 

舞台は、昔からあるような木造平屋のお家。主人公は、あっちゃん。時々顔を出す、ねこのミー。

雨が続いて外遊びができないあっちゃんは、積み木にも折り紙にも飽きてしまって、ふと呟く。

 

「ああ、つまらない。どこかに いきたいなあ」(本文より)

 

あっちゃんは椅子、座布団、目覚まし時計、扇風機、傘、お鍋、お玉…いろんなものを集めてきてヘリコプターを作り始める。

お鍋はヘルメットに、目覚まし時計はヘリコプターのメーターに。ハンガーの操縦桿とお玉のレバーを操れば、気分はもう、パイロット。

あっちゃんは、夢のヘリコプターに乗ってお家中を巡り、不思議な世界へ旅立つのです…!

 

 

 

この本をパラパラっと最初に見たとき、もしかしたら長男は怖がるかもしれないな…と思いました。不思議の国のアリスの如き、あっちゃんインワンダーランド。全体的に薄暗い色彩で描かれているし、天井の板の模様がお顔に見えたり歯ブラシが釣りしてたり…怖がりの長男氏、大丈夫かなぁ…と思って読み始めてみたら…

 

さすが男子!ヘリコプターで冒険、というテーマがビビビッと来たみたい。そして、お家の中のいろんなものが変身しているのがまた、面白かった模様。あ、これはポットだ、とか、自転車だ、とか、サッカーボールだ、とか、一緒に探しながら読みました。

最後のページにはお家の見取り図的なものも載っていて、「ここがスタートで、次がここ…これが遊園地のお部屋…」と指でなぞりながら旅路を振り返る長男。

 

…気付けば最近のリピート率ナンバーワン絵本になっていました。大人の思い込み、ヨクナイネ!

 

この本を読み始めたのが、次男が産まれたばかりでまだママと赤ちゃんだけ1階のリビングで寝ていた時期。長男にとっては、ママと二人きりで冒険は気分を味わえるのも嬉しかったのかもしれないなぁ。その頃は『あめのひのぼうけん』と、『だいすき ぎゅっ ぎゅっ』ばっかり読んでいた。それもまた、思い出になっていくのね。

bg8qp.hatenablog.jp

 

 

先ほど「怖がるかも」と書いたけれど、なんとも本当に特別な雰囲気のある絵本。

畳、襖、竹でできた柵。足踏みミシン、レトロなおもちゃ…その匂いやじめっとした空気までもが伝わってくるみたい。

絵の細かい描写がすごく丁寧で、素敵で、見れば見るほど世界にのめり込んでしまう。

大人もノスタルジーに浸りながら、キュンキュンして読める一冊だと思います。

森洋子さん…他の本も読んでみたくなります。

 

 

 

さて、先日この本を読んでいたとき、鏡台のシーンで三面鏡の合わせ鏡にたくさんあっちゃんが映っているのを見て、家でも実験。

鏡の角度を変えながら映り込む自分を嬉しそうに眺めてニヤリとしながら、

「これが本物のぼく、これがにせもの、これがにせもの、これがにせもの…」

と指をさしていく長男…

 

…鏡の虜になる姿、なんか怖い!

 

おかげさまでブームは過ぎ去りました。ヨカッタ!笑

 

月刊予約絵本「こどものとも

『あめのひの ぼうけん』 2021年6月号(通巻783号)

発行所 福音館書店

森 洋子 作

 

 

せかいいちのいちご

『せかいいちのいちご』 作 林木林 絵 庄野ナホコ

 

香さんセレクション3冊目!

 

 

表紙には、いちごを愛おしく眺める白くま。

パステルピンクの背景が、とってもきれい。

 

ある日、白くまの元に

「いちご おとどけ いたします」

という手紙が届く。

 

かつて一度だけ見た、人間の子どもがはしゃぎながら美味しそうに食べていた、“いちご”。

夕焼けよりも赤い実がつやつや輝いていた、“いちご”。

 

それはそれは楽しみにいちごを待っていると、ついに、リボンのかけられた美しい箱の中に、いちごが一粒入って白くまの元に届く。白くまはいちごの香りに浮足立ち、うっとりと見つめ、夢見心地でいちごを愛でた。

 

次の年には2粒、その次の年はもっと、その次の年も、その次の年にも…白くまの元には毎年いちごが届き、その数は段々と増えていって…

 

 

 

とにかく絵が、色が、美しい~!表紙と裏表紙の内側の、パステルピンクに縁どられた雪原の絵が、すごく素敵なの。しろくまのお洒落で丁寧な暮らしもとっても素敵でうっとりしてしまう。

 

白くまは、とにかく可愛い。乙女。きゅん!表情がすごく魅力的。実は爪が鋭いのもいい。

 

そこに映える、白くまのはしゃぎっぷりを制するかのような淡々としたフォント。

滲む、倦厭、怠惰。

とっても可愛いのに、やっぱりこれは、オトナな雰囲気の絵本だ…!

 

いちごのお花もすごく魅力的に描かれている。いちごもバラ科よね?やっぱり、なんでしょう、白くて小さくて可憐なのに、ちょっとギザギザした葉や、がくがあって…それらが、お話の世界にちょっと危険な感じを纏わせてくれている気がする。

 

 

 

私にとっての、“せかいいちのいちご”は、何だろう。

 

夢にまで見たもの。待ちわびたもの。

 

虜になり、心酔したもの。

 

 

もう、手に入らないもの。

 

 

 

 

 

心躍り、くすぐられ、チクっと痛む。もしかしたら、グサっと?

 

これまでは、手に入れることばかり必死に考えてきたけれど、手放すことも、少しずつ考えるようになった、今日この頃。

 

もう戻れないあの頃、が、増えていく、今日この頃。

 

それさえも、ありのままに受け入れ、楽しんでいけるようになるであろう、これから。

 

 

 

子どもも楽しめるけれど、この真髄は、大人にこそ、沁みる。

 

まさに「大人のための」絵本、かも。

 

 

 

先日、香さんと念願のリモートおしゃべりをしました!

お顔を見てお話をする、ということがどんなに大事で、尊いか。

ここしばらく家族か病院関係の人としか喋っていない私。

香さんの柔らかな笑顔に癒され、元気が満ち満ちてきたよ~!

 

皆さんも、大切な人と、お顔を見て、繋がれますように。

 

直接会える日が、早く、来ますように。

 

『せかいいちの いちご』 2018年

発行所 小さい書房

作 林木林 絵 庄野ナホコ