『THE VERY HUNGRY CATERPILLAR by Eric Carle 英語でもよめる はらぺこあおむし』
エリック・カール さく もりひさし やく
まさに読んで字の如く。英語版と日本語版が同時に読める『はらぺこあおむし』です。
前に私が書いた日本語版『はらぺこあおむし』の記事はこちら☟
いやはや!「英語でもよめる」って、面白いです。
上の記事にも書いた、家にある日本語の『はらぺこあおむし』(1988年4月101刷)を引っ張り出してきて読み比べてみました。
パッと見て分かるところでは、英語を入れるために文のレイアウトが少し変わっているところがある。
あと、最初の「この えほんを いもうとの クリスタに」の“クリスタ”は、我が家の『はらぺこあおむし』1988年版では“クリスタ―”となっているから、より発音に近い表記にしているのかも。まぁ、これはもしかしたら、最近のレギュラー版『はらぺこあおむし』も変化しているのかもしれません。今度調べてみよう。
さてさて、英語版の文章を読むと、日本語版の『はらぺこあおむし』は、決して直訳ではないことが分かる。
やっぱり、訳者の意図も、外国文学を楽しむ醍醐味のひとつだし、そこに自分で読んで気付けるって、なんとも、嬉しい。
ありがとう中学英語。
…そう!子ども向けの易しい英語だからこそ、分からない単語さえ調べれば、中学英語くらいの文法が分かれば、読めちゃう!それもまた、愛しい。
そもそも、“VERY HUNGRY”を「はらぺこ」と訳したもりひさしさんには、もう、最高の称賛を送りたい!パンパカパーーン!
『とてもおなかのすいたあおむし』なんてタイトルでは、日本でのここまでのヒットは無かっただろう。
「りんごを ひとつ みつけて たべました」…のところでは、原文では、ただの“ate”ではなくて、“ate through”という表現が使われている。絵本の構造も穴あきで、まさに“ate through”!ぴったり納得。
でも、そのまま訳そうと思って「くりぬいてたべました」とか「たべとおしました」とか言ったいkら、やっぱり子どもには「?」が生まれる。
シンプルイズベスト、ここは、シンプルに「たべました」を選ばれたのでしょう。きっと。
反対に、「そのばん あおむしは、 おなかが いたくて なきました。」の文は、
原文では“That night he had a stomachache!”と、なっている…
え!あおむし、泣いてなかった!!!笑
でもね、「おなかがいたくてないたあおむし」に、歴代ジャパニーズキッズは同情したり、共感したり、また、応援をしたりしてきたんだと思うの。
「そのばん あおむしは、 おなかが いたくて なきました。」
ああ、なんて、切なくて、愛しい一文だろう。
やっぱり、日本語版のあおむしくんは、泣いていたことにした方がいい。
その他にも、日本の子どもが読むのに適した表現や、言葉遣い、微妙なニュアンスの違い…もりひさしさんの手腕がビッカビカ光っていることが分かることでしょう。
そう、つまりね、作者エリック・カールさんの凄さに加え、訳者もりひさしさんの凄さをビッシビシ感じられるのが、この一冊なわけです。
英語で読む必要がなければ、日本語で読めばいい。
いつか、英語に挑戦したくなったら、一緒に書いてある日本語が手掛かりになる。
日本語も、英語もどちらも読めること、そして比べて読めることが何より面白い。
英語の学習教材としても、使えるかも!
すでに『はらぺこあおむし』をお持ちの方も、お手元の本と比べながら読んで楽しめるし、今から『はらぺこあおむし』を買おうと思っている方には、こちらを断然おススメします。
出産祝いやお誕生日のギフトにもオシャレかも!
『THE VERY HUNGRY CATERPILLAR by Eric Carle
英語でもよめる はらぺこあおむし』 2006年
発行所 偕成社
Eric Carle(エリック・カール) 作 もりひさし 訳
これ、超かわいい!