『すてきな三にんぐみ』 トミー=アンゲラー さく いまえ よしとも やく
表紙には、黒マントに黒帽子の怪しい3人組。
彼らは、なんと、それはそれはこわーい、どろぼうなのです。
泥棒だ、と分かった時点で「こわい…」と眉をハの字にしてギュっとしがみついてくる息子。
そんなこわいこわ~い泥棒なのに、どの辺が「すてき」な3人組なのでしょう…。
50年も昔の絵本とは思えないポップさ、オシャレさ、楽しいストーリー。
そうであってほしくはないけれど…世界中の、寂しい思いをした子どもたちが、この絵本に救われてきたのだろうな。
ノスタルジーを引きずりながらも、時代を超えて楽しめるお話。それをビビットに彩る秀逸な絵。
今江祥智さんによる日本語訳が、また、素敵なんだな。講談師のように物語を引っ張っていく。あとがきまで、リズミカルで、愉しい文章。添えられているアンゲラーと娘さんの写真も素敵です。(アンゲラーではなくウンゲラーと表記されているものもありましたが、絵本に倣ってここでは”アンゲラー”と表記したいと思います)
今江さんは2015年3月に83歳にて、作者のアンゲラーさんは、2019年2月に87歳にて逝去されていました。
同い年だったお二人。『すてきな三にんぐみ』以外にも、今江さんはアンゲラーさんの作品を翻訳されていました。まさに、志を同じくして、同じ時代を一緒に生きてきたのね。そのアンゲラーとアンゲラー作品への愛を、敬意を、感じるようなあとがきでした。
あとがきと奥付の後ろにある“園で家庭で、いま、いちばん読まれている偕成社の絵本20冊”のラインナップも、ノンタン、パパお月さまとって!、バーバパパ、はらぺこあおむし、からすのパンやさん、木はいいなあ…などなどなど、なんとも懐かしく、アツい。
一冊まるまる、ザ・ロングセラー!の雰囲気、醸し出されてたぜっ!!!!
集団で、読み聞かせがしたいなぁ。
『すてきな三にんぐみ』 1969年
発行所 偕成社
アンゲラー・作/今江祥智・訳