『ずっとずっといっしょだよ』 作 絵 宮西達也
「 むかし むかし おおむかし、
あかい みが だいすきで
とても こわがりで
よわむしな
いました。 」 (本文より)
誰からも恐れられる肉食恐竜・ティラノサウルス…のはずが、このお話の主人公のティラノサウルスは、怖がりで弱虫。しかも大好物が赤い実だという超草食系。
それなのに、その見た目からみんなに怖がられ、避けられ、彼はいつもひとりぼっちだった。
そんなティラノサウルスが、ある日プテラノドンの女の子・プノンと出会って…
こちら、『おまえうまそうだな』から始まるティラノサウルスシリーズの11作目。
先日の宮西達也Newワンダーランド展で、1冊好きな本を買おうぜ、となった際に長男が選んでくれました。
どうしてこの本にしたの?と聞くと、『ずっとずっといっしょだよ』っていう名前がすてきだから、なんだって。
孤独と、葛藤と、友情と…
うーん。ギュギュギュと胸が締め付けられるような気持ちになりました。
長男も、じっくりと真剣な顔で読んでいたよ。
道徳やな…
さて、このパッと見るだけでウキウキするようなポップな絵の世界は、多色刷りの成せる業。Newワンダーランド展でも、その技法が紹介されていたけれど、ああ、やっぱり版画って良いね…!!!ほんっと、重なった色もはみ出た色も、その隙間さえも効いてるよねー!
夫はNewワンダーランド展でティラノサウルスのデザインの筆箱を買っていたのだが、それがまたかわいいの!グッズもかなり充実しておりました。
ティラノサウルスシリーズについて調べていたら、2018年に15周年を迎えた時の特設ページを発見!
15年間で15冊。ひとまずそこでシリーズはひと区切りのようですが、いろんなティラノサウルスのいろんな想い、いろんな姿が、15年という時の流れとともに描かれ続けてきたのね。
アニメや映画にもなっているというのだから、すごいよね。
なんかねー、最近、人生についてずっと考えているのよね。
どうやって生きることが、世の、ひとの、自分の周りのひとの、わたしの、全てに対してよいことになるのでしょう。
“プノン”のように、導き、諭し、懸けさせてくれる何か、とは、私にとって、何なのでしょう。
そして、それが分かるのは、一体いつのことなのでしょう。
うーん、その思考が他力本願だっぺよ。
それにしたって考える暇も無く常に息切れしたままひたすら時が過ぎていくのがいやだなぁ
こうしている時間さえ
多色刷りのように、重ねて、重ねて、できた色が、はみ出した形が、隙間が、偶然に、必然に、面白く仕上がったら良いんだけどなぁ
『ずっとずっといっしょだよ』 2012年
発行所 株式会社ポプラ社
宮西達也・作 絵