絵本ライブラリー 読む、残す、思い出す

2020.4.1スタート。元小学校教諭,小3&3歳兄弟育児中の筆者が,読み聞かせをした絵本を中心に書籍の記録・紹介を行っています。自分と、子どもたちと、本との軌跡を記しておきたい。筆者の肌感覚によるカテゴライズもしております。昔の記事も振り返って楽しんでもらえるブログを目指したい。

キース・へリング ぼくのアートはとまらない!

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キース・へリング ぼくのアートはとまらない!』 

ケイ・A・へリング 文 ロバート・ニューベッカー 絵 

梁瀬 薫 訳 中村キース・へリング美術館 監修協力

 

 

あけましておめでとうございます。

なんということでしょう、年が明けてしまいました。

そしてなんということでしょう、もう7日になってしまいました。

時間って不思議!←今週のおさるのジョージでも言ってたYO。

 

 

さて、2023年一発目はキース・へリングの伝記絵本から!

表紙の“光りかがやく赤ちゃん”が何とも新年のおめでたい空気にぴったりですよね、そうですよね!!??2023年が世界中の全ての人々にとって明るい一年になってほしいなぁと思います。…ほんとうに。切実に。

 

「キースという名前の、

   絵をかくことが大すきな男の子がいました。

       いつもかいて……

           またかいて……

   やがて、ゆうめいな

   アーティストになりました。

   でも、キースにとって

   一番だいじだったのは、

   じぶんのアートを

   みんなとわかちあうことでした。」 (そで より)

 

キース・へリングといえば、踊っている人の絵や、四つん這いの人の絵(…これが前述の“光りかがやく赤ちゃん”そう、これが赤ちゃんである、ということをこの本を読んで初めて知り、超感激している私!赤ちゃんか。これ。そうなのか!そう思ったら尚、最高じゃん。超いいじゃん…!)などなど有名な作品を描いたアメリカのアーティスト。ハスラーのCMにも使われていたわねっ!長男も一昨年買ったキース・ヘリングの絵が描かれたTシャツを気に入って着ていたなぁ。エネルギッシュで、ポップで、すごくキャッチ-な絵。

この絵本は、そのキースの妹によって描かれたもの。キースの幼い頃からアーティストとして活躍するようになるまでの様子や、その貢献と活躍ぶり、亡くなった後も尚、人々に愛されていることなどが、ご本人の作品とともに描かれている。

 

さて、絵本を読んだワタクシ、いかに自分が欲深い人間か、と、打ちのめされてしまいました…

キースが高校生の時に一等賞を取った絵をお金持ちの夫婦が買いたいと言うと、彼は無料であげると申し出たのだそう。また、ニューヨークで暮らし始めると、街中の壁や歩道や街灯のはり紙など、掃除されたり雨に流されたりして消えてしまう場所にも次々と絵を描き、壁に描いたら罰金だと言われれば罰金を払って絵を描き、子どもの病院の壁に絵を描き、子どもたちとともに絵を描き、何にでも絵を描き…描いた絵は惜しみなく相手に譲り、その絵の解釈さえ観る者に委ねて、自身が絵を描くこと、そして絵を観る人が自由に楽しむことを喜びとしていたみたい。

何より私がゴーーーーンと頭を殴られたような気持ちになったのは、ギャラリー一面の絵が全て売り切れた時に、売ったお金をどうするか聞かれた時のこの言葉。

 

「まんぞくにごはんを食べられない子どもたちがいるって新聞で読んだんだ。きのうまでこのお金はなかったけれど、ぼくはしあわせだった。あした、もし、このお金がなくても、ぼくはしあわせだよ。だから、ごはんを食べられない子どもたちに、ぜんぶあげるんだ」(本文より)

 

…なんて。なんて。

そうだよね…今の暮らしの不満ばかりを述べて、〇〇だったら、もう少し〇〇になれば、なぞと文句ばかり垂れてしまう私。

でも、今、私には、家族がいて、やりたいこと、やるべきことがあって。節約がライフワークにはなったけれど、食べることに困ってはいないし、時には私たちなりの贅沢だってできる。

もちろん、みんながよりハッピーになる暮らしを追い求め続けていきたいとは思うけれど、それはお金があるとか、いい暮らしをするとか、そういうことではないのだと。芸術とは、そんな傲慢なものではないのだと。…なんだかもう、背筋がバリバリのびてしもうたよね。なんかね、転職したこともあって、金、金、金、みたいに思っちゃった時期があってね。マジ反省。ろくでもねぇ。そして、心から、自分の傲慢さを恥じました。そして、芸術とは、と、いま、思いを巡らせているのです。

日本にも「中村キース・へリング美術館」というのが山梨県にあるのね!行ってみたいなぁ。

とっても素敵な絵本でした。

この言葉や今の気持ち、心が動いたこと。ちゃんと胸に留めておきたいと思う。

 

 

さて、2023年も、きっとうさぎの如く飛び飛びの更新となってしまうかもしれませんが、いろんな絵本と出会ってその世界に触れ、日々の隙間をぬいながらパソコンの前に座って言葉を綴っている時間がやっぱり私には面白いのです。ぼちぼち、ぴょんぴょん、今年も少しずつやってみようと思っています。あとは、音楽の方も充実させたいです。仕事もいろいろ変化がありそうなので心身を大切に楽しんでいきたいと思います。そして何より家族がみんな元気で過ごせるよう、今年も走り続けたいと思います。

 

みなさんにとっても、素敵なこと、幸せな気持ちがたくさんあふれる一年になりますように。

今年もこの駄文にお付き合いいただきながら、絵本の、そして日々の暮らしの嬉しさ、楽しさ、美しさ、それ以外にも…どうか気軽に、一緒に味わっていけましたら幸いです。

 

今年もよろしくね!!!!!!!!

 

キース・へリング ぼくのアートはとまらない!』 2018年

発行所 評論社

ケイ・A・へリング 文 

ロバート・ニューベッカー 絵 

梁瀬 薫 訳 

中村キース・へリング美術館 監修協力