『ネコヅメのよる』 町田尚子
ベロリと舌を出して、こちらを鋭く睨む三毛猫。
「おや?」
「あれ?」
「もしかして……」
「そろそろかもしれない」(本文より)
何かを感じ取った猫たちが、あっちからも、こっちからも、町中から集まってくる。
そうして夜空に現れた、猫たちが待ちに待っていたものとは…
主人公の猫ちゃんは、作者の町田尚子さんの愛猫「白木(しらき)」なのだそう。
ふくふく柔らかそうな丸い体も、ユニークなポージングも、ふてぶてしい表情も、鋭い眼光も、全てがとっても愛しい。集まってきた猫たちも一匹一匹が美しく、個性があって、町田さんの猫への深い愛がひしひしと伝わってくる。
「あれ」が出てくるシーンの猫たちの様子は、いつまでも見ていたくなる可愛さ!
私は背表紙の絵にもキュンキュン。猫の魅力にどっぷり浸かれる1冊でした。
何かね、猫と赤ちゃんってなんだか通じるものがあるよね。
現在我が家の次男ベイビーは3ヵ月なんだけど、コミュニケーションの通じるところと通じないところの加減がなんとも親近感。目を見開いた“興味津々”のお顔も、見つめ合って幸せそうに甘え声を出していたかと思えばいきなり塩対応される気まぐれさも…まぁ、生を受けて3ヵ月の新参者よりも、人(猫)生経験豊富な猫先輩の方がずっと世の中のいろんなことを知っているだろうけれどもね。
とても丁寧に描かれた上質な絵本で、オトナも大満足のクオリティだし、文がとっても短いので、子どもにも読みやすい。長男と一緒に読んだら、早速一人で声に出して読んでいたよ!いいね、いいね。母、嬉しい。
“ネコだけがしっている”というフレーズが彼の好奇心をズキューンと掴んだみたいで、夜になると「ネコヅメ」のことを何度も思い出しているみたいです。
『ネコヅメのよる』 2016年
発行所 WAVE出版
作:町田尚子