絵本ライブラリー 読む、残す、思い出す

2020.4.1スタート。元小学校教諭,小2&2歳兄弟育児中の筆者が,読み聞かせをした絵本を中心に書籍の記録・紹介を行っています。自分と、子どもたちと、本との軌跡を記しておきたい。筆者の肌感覚によるカテゴライズもしております。昔の記事も振り返って楽しんでもらえるブログを目指したい。

あなのはなし

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『あなのはなし』 ミラン・マラリーク さく 間崎 ルリ子 やく 二見 正直 え・あな

長男がジャケ借り。

 

『あなのはなし』…確かに、惹かれるタイトル。

 

作者、訳者、お、原作は外国の方か。絵は、二見正直さん。

 

…ん?

 

“え・あな”

 

…あな?

 

 

 

“はじめはくつしたにあいただけだった、

ちいさな「あな」。

しかし、だれもその「あな」を

つくろってくれなかったので、

とうとう旅に出ることに決めたのです。”(そで より)

 

なんと、主人公は、穴。

 

穴ったら、穴、なのだ。本当に。

 

穴のところは、絵じゃなくて、本当に、ページに穴が空いている。

 

穴から手と足生えてるし。斬・新!

 

長男、穴の絵にイチイチ爆笑。わかる。穴、可愛いわ…!特に小屋で桶の中でひっくり返って寝てるのがおすすめ。

 

途中で、桃太郎の如く、ドーナツ、カエル、ツバメ、ヒツジの仲間に出会いながら、穴は旅を続ける。いきなりドーナツに出会うから、“穴”つながりなのかと思いきや、次からは、普通に動物っていう何でもアリな感じ。

そんな彼らを、実はオオカミが狙っていて…

 

 

 

いやー、なんでしょう、この世界観。

 

作者のミラン・マラリークさんは、1912年にチェコに生まれ、1987年に亡くなっています。チェコって言われると、登場する動物とか、靴下、とか、何ともチェコっぽいお話な気がしてくる。

 

外国のお話の雰囲気をそのままに、シュールと、オシャレと、笑いに、落とし込む絵・そして、穴。

 

とにかく穴が愛しくて、追って来るオオカミを絵の中から探しながら、あはは、なんじゃこりゃ、と読んでいるだけで面白いんだけど、読み終わった後には、ざらざらとした拭い去れない違和感のようなものが、何となく口の中に残っている。

 

靴下は?オオカミは?どこへ行ってしまったのだろう。おしまい、のページが、なんだか、こわい。

 

 

「べつに どこへも。ただ、よのなかを みたいと おもってね」(本文より)

 

穴。

 

なんだか、印象的なお話でした。

 

飲み込まれちゃうぜ。

 

『あなのはなし』 2014年

発行所 偕成社

作 ミラン・マラリーク

訳 間崎 ルリ子

絵・あな 二見 正直

 

今週のお題「読書の秋」