絵本ライブラリー 読む、残す、思い出す

2020.4.1スタート。元小学校教諭,児童発達支援スタッフ,年長&0歳兄弟育児中の筆者が,読み聞かせをした絵本を中心に書籍の記録・紹介を行っています。自分と、子どもたちと、本との軌跡を確かめたい。筆者の肌感覚によるカテゴライズもしております。

でんしゃが まいります

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『でんしゃが まいります』 秋山とも子 さく

 

新宿駅の5・6番線ホームの一日を描いたこの作品。

まだ日も昇らない夜明け前に、大量の新聞紙がトラックいっぱいに運ばれて来る絵から始まる。

朝・昼・夜。時間帯によって客層が変わったり、いろんな人がいろんな仕事をしていたり。

 

ストーリーは淡々と進んでいくのだけれど、ページいっぱいの挿絵の中では、お客も、働く人々も、思い思いに何だかかんだかやってて、たくさんの人の、それぞれにその瞬間を生きている姿が細かく細かく描かれている。

知らなかった駅の裏側を知ることができるのもいい。車掌さんのアナウンスが書いてあって、ちょいと鼻にかけて読み上げてみれば、完璧に車掌さん気分になれるのもいい。電車好きはもちろん、電車が好きじゃなくったって、何かしら引っかかる嬉しさがあるのがいい。

読み聞かせも楽しいけれど、一人でじっくり眺めたり、少人数であーだこーだ楽しいところを見つけながら読むのにぴったりだと思います。息子はなぜか無心で小学生の人数を数えていた。笑

たのしー

NHKの番組でドキュメント72時間ってのがあるけれど、それに近い感覚かも。定点観測的な。人間模様を味わう1冊。

 

絵も、お話も、今の子どもたちからすれば、ちょっと古い感じがするかもしれないんだけど、それが、なんともはや、懐かしい。ちょうど私が子どもだった頃くらいの感じ。

子どもの頃となりのトトロを観てたら、母が「お母さんが子どもの頃の時代のお話だなぁ~」というようなことを言っていて、まさにそういう感覚なんだろうなぁ~と思った。

ファッションセンス、ヘアスタイル、暮らしの道具たち。小学生だったあの頃。全てが新鮮だったあの時も、ちゃんと、もれなく、過去になる。

なんだか、くわっと胸の奥が熱くなってしまう。

 

 

 

それにしても、人々が大口を開けて笑い、喋り、のびのびと行き交う様子が眩しくて、ギュウギュウ詰めのホームを見てたら、つい「密です!」なんて思っちゃう自分がいて…

 

本当に、切ない。

 

こんな呑気な毎日が、また来るのかな。

 

来てほしいな。

 

神様。

 

『でんしゃが まいります』 2014年(月刊「こどものとも」は1990年)

発行所 福音館書店

秋山とも子 さく