絵本ライブラリー 読む、残す、思い出す

2020.4.1スタート。元小学校教諭,小3&3歳兄弟育児中の筆者が,読み聞かせをした絵本を中心に書籍の記録・紹介を行っています。自分と、子どもたちと、本との軌跡を記しておきたい。筆者の肌感覚によるカテゴライズもしております。昔の記事も振り返って楽しんでもらえるブログを目指したい。

よこいしょういちさん

『よこいしょういちさん』 ぶん・え かめやまえいこ

 

黒地白抜きのインパクトのある表紙。

今、「横井庄一さん」を知っている子どもはどれだけいるのだろう。

 

横井庄一さんは、終戦を知らされないまま、太平洋戦争終結から28年間、グアム島で身を潜めながら暮らしていた。

著者のかめやまえいこさんも、巻末で

“ほんの数年前まで、私は横井庄一さんのことを、「長い間、ジャングルで暮らしていた人」というくらいしか知りませんでした。”

と書いていた。

私も、横井庄一さんと言えば、とんねるずのタカさんが、うたばんか何かで椅子にヨッコイショって座るときに「よっこいしょういち」って言うギャグをやってて、横井庄一さんって誰なんだろう…と思ったのが小学生くらいの頃。その後、長い間森の中で生き抜いて日本に帰国し、自分の生まれる何年も前に大変話題になった方なのだということを知った。

三十路の私でさえこんな調子なのだから、今の子どもたちは知らない子も多いだろう。

 

 

インパクトのある表紙をめくると、ビビットな黄色地に黒文字で、表紙と同じ切り絵の表題。そのページ以外は、白と黒の切り絵の世界。

生い立ちから、戦争による想像を絶する体験、生き抜いた日々のこと、発見され日本に帰った後のこと…横井庄一さんの生涯が、平和への願いが、丁寧な言葉で綴られている。

戦争のお話って、難しかったり、怖かったり、避けたくなるような内容だったり、想いが込められるあまり思想が傾いてしまったりすることがあるように思うけれど…このお話は、文章がすごく優しいなぁと思う。読んでいて、無駄に辛いということがない。心に寄り添いながら、ちゃんと一歩下がったところから、その様子や想いを伝えてくれる。もちろん、ショッキングな部分も皆無というわけではないのだけれど…言葉の優しさに包まれて、悲惨な事実以上に、横井庄一さんの強さを、優しさを、愛を、強く感じる一冊になっている。素敵だ!

小学生が読むのにぴったりなお話だなぁと思いました。教材に載りそう。もはや載ってそう。

お話の最後に記されている横井さんの詠んだ歌を読み、今の自分の生活がいかにありがたく、幸せなものなのか…ぐぐっと胸に迫って来るものがありました。

作者のかめやまえいこさんのプロフィール欄は、

“「全国の図書館に『よこいしょういちさん』を置いてもらう」という横井庄一夫人、美保子さんとの約束を果たすため奮闘中。”

と締めくくられていた。それだけの想いが、念が、込められた作品なのね。

 

 

全編白黒のお話を読み終わってページを閉じると、背表紙の3つの色づいた花が印象的に目に飛び込んでくる。これは未来への希望の祈りか。苦しみや悲しみに手向けられた花なのか。それとも、必死に命の花を繋いだ横井さん、志知さん、中畠さんの3人ご自身なのだろうか。

 

8月も、もう終わり。

心に留めておきたい1冊です。

 

『よこいしょういちさん』 2020年

発行所 KTC中央出版

文と絵 かめやまえいこ

 

 

あんぱんまん

『あんぱんまん』 作・絵 やなせ・たかし

 

丸いお顔にツヤテカのお鼻とほっぺ。手袋、ブーツ、ベルトにマント。

 

ニッポンジンなら、知らない人はいないと言ってよいだろう、アンパンマン

 

ベイビーズなら絶対通る道、アンパンマン大好き期。

 

いつも自信に満ちていて、ハリのある声。あんこがぎゅうぎゅうに詰まったピッカピカの顔。

 

 

でも、この絵本のあんぱんまんは、体はひょろっと細長く、マントもつぎはぎだらけ。表情も、あのパッチリおめめの元気はつらつなアンパンマンとは、ちょっと違う。    

 

あんぱんまんは、砂漠の真ん中でお腹が空いて倒れている人、森の中で道に迷ってしまった男の子を助け、自分の顔を分けてあげる。最後にはひとかけらも残されず、すっかり食べられながら…。

「おじさん」という名前で、ジャムおじさんも登場。アンパンマンの顔には、ジャムおじさんの優しさと愛情がたっぷり詰まっているのね。だからこそ、食べた人が元気になれるんだな。

 

身を削り、ボロボロになってでも、相手を助ける。

バイキンマンに対しても、罪を憎んで人を憎まない。

アンパンマンに著される本当の正義。

 

 

かつての道徳の教材にも載っていた、やなせさんのあとがきが、とっても胸に染みる。

 

(あとがきより)

「ほんとうの正義というものは、けっしてかっこうのいいものではないし、そして、そのためにかならず自分も深く傷つくものです。」

「さて、こんな、あんぱんまんを子どもたちは、好きになってくれるでしょうか。」

…超好きになってます!伝わってます!!!

この絵本には、バイキンマンは出てこない。アンパンマンが戦うのは、飢えや孤独。やなせさんの強いメッセージが込められている。

夫がクラスで読み聞かせたら、5年生も真剣に聴いていたそうです。

 

やなせたかしさんって、す~んごい有名で、作品も多くて、若いときからバリバリ☆アンパンマンを描いてきたのかな、って思っていたのだけれど、初めて「アンパンマン」を発表したのは、1969年。やなせさんが50歳の時だったそう。そこから、94歳で亡くなるまで、子どもたちのために、素晴らしい作品を生み出し続けてきたのね。叔父が仕事でやなせさんとお会いしていたのですが、お年を召しても少年のようにキラキラと目を輝かせる、素敵な方だったそうです。

 

ヒーローとして、自分の顔を分けてあげるという優しさ、強さ、その斬新さ。アンパンマンを知らない人に、この本を、1冊の絵本として、最初に読んでみてほしいなぁと思う。どんな反応をするだろう。どんなに、胸を打たれるだろう。

 

…今、日本で生活している子は、1、2歳でだいたいアンパンマン大好きになっちゃうから、難しいかもしれないけどね!笑

 

『あんぱんまん』 1976年

発行所 フレーベル館

著者 やなせ・たかし

 

 

すてきな三にんぐみ

すてきな三にんぐみ』 トミー=アンゲラー さく いまえ よしとも やく

 

表紙には、黒マントに黒帽子の怪しい3人組。

彼らは、なんと、それはそれはこわーい、どろぼうなのです。

 

泥棒だ、と分かった時点で「こわい…」と眉をハの字にしてギュっとしがみついてくる息子。

 

そんなこわいこわ~い泥棒なのに、どの辺が「すてき」な3人組なのでしょう…。

 

 

 

50年も昔の絵本とは思えないポップさ、オシャレさ、楽しいストーリー。

そうであってほしくはないけれど…世界中の、寂しい思いをした子どもたちが、この絵本に救われてきたのだろうな。

ノスタルジーを引きずりながらも、時代を超えて楽しめるお話。それをビビットに彩る秀逸な絵。

 

今江祥智さんによる日本語訳が、また、素敵なんだな。講談師のように物語を引っ張っていく。あとがきまで、リズミカルで、愉しい文章。添えられているアンゲラーと娘さんの写真も素敵です。(アンゲラーではなくウンゲラーと表記されているものもありましたが、絵本に倣ってここでは”アンゲラー”と表記したいと思います)

今江さんは2015年3月に83歳にて、作者のアンゲラーさんは、2019年2月に87歳にて逝去されていました。

同い年だったお二人。『すてきな三にんぐみ』以外にも、今江さんはアンゲラーさんの作品を翻訳されていました。まさに、志を同じくして、同じ時代を一緒に生きてきたのね。そのアンゲラーとアンゲラー作品への愛を、敬意を、感じるようなあとがきでした。

 

あとがきと奥付の後ろにある“園で家庭で、いま、いちばん読まれている偕成社の絵本20冊”のラインナップも、ノンタン、パパお月さまとって!、バーバパパはらぺこあおむし、からすのパンやさん、木はいいなあ…などなどなど、なんとも懐かしく、アツい。

 

一冊まるまる、ザ・ロングセラー!の雰囲気、醸し出されてたぜっ!!!!

 

集団で、読み聞かせがしたいなぁ。

 

すてきな三にんぐみ』 1969年

発行所 偕成社

アンゲラー・作/今江祥智・訳

 

 

五十音

『五十音』 北原白秋 詩 高畠純 絵

 

「あめんぼ あかいな あいうえお」

と言えば、発声練習の代表格。

三々七拍子を彷彿とさせるような、日本語的にキモチイイ・リズム。

思い浮かぶのは、ジャージ姿の演劇部の高校生が、青空の下で汗をかきながら発声練習してる風景。ただの妄想ですが。

俳優さんとか、アナウンサーさんとかも、やるよね。

「あ・え・い・う・え・お・あ・お」とかね。

 

私も年々滑舌が悪くなっているような気がして、練習したら少しは改善するのだろうかと思いつつ、滑舌が良くなったところで何に生かせるのかとか考えるけど、そんなこと思うまでもなくすらすら文章が読めたら気持ちが良いし、脳トレにも良さそうだし、小顔効果もありそうだから、やってみれば良いと思うけれど、とりあえず息子に絵本を読むときにちゃんと伝わるように読めるように練習をしていくことで、滑舌の悪化を食い止めながら自分の表現力も磨いていけたらいいんじゃないかなとか思ったりしちゃったりなんだり。

 

さて、この「あめんぼ あかいな あいうえお」から始まる『五十音』の詩を作ったのは、『からたちの花』とか『この道』の作詞者でもおられます北原白秋。そうだったのか。

北原白秋の童謡集『祭の笛』に所収されているのだそうです。

それを現代かな遣いに直し、一部改変を加えたものが、この絵本の詩となっているそうです。

高畠純さんの絵が、またユニークで、言葉のイメージを捉える手助けにもなっていて、なんだか楽しい気分になる。美しいのに真面目過ぎない、詩のテイストにぴったり。

 

「あめんぼ あかいな あいうえお  うきもに こえびも およいでる」

この26音で、あ行が網羅されている。そして、同じ調子でか行、さ行…と続いていく。

五十音を使った言葉遊びだけれど、あいうえお作文的な頭文字の縛りは無く、なんて言うか、けっこう、ゆるい。

 

絵本では、ひらがなの詩とイラストとで進んでいき、最後のページに漢字を交えた詩の全文が載っている。

この詩の全体の感じが、なんだか、すんごく、素晴らしいなぁ~。なんだろな。自然の、生き物の、人々の生活の一コマが、26音ずつの短い言葉遊びにぎゅぎゅっと詰まっている。匂いたつようなコミカルさ、リアルさ、美しさ。それでいて、肩の力が抜けている。ふへへ。やっぱり、巨匠。

 

学習発表会とか音読発表会でも使えそうな詩ですねっ。

『五十音』に取り組む際の導入アイテムには、ぜひ、この絵本を使いたい。

 

『五十音』 2020年

発行所 光村教育図書株式会社

詩 北原白秋 絵 高畠純

 

 

ほんとのおおきさ特別編 元気です!東北の動物たち

『ほんとのおおきさ特別編 元気です!東北の動物たち』 

監修・小宮輝之 写真・尾崎たまき 絵・柏原晃夫 文・高岡昌江

 

よくある絵本よりも、一回り、いや、二回り、三回り…とにかくチョット大きいサイズ。

表紙には愛らしいニホンザルの親子。

この親子、なんと、我らが八木山動物園のお猿さんなのだそうです!!!

 

仙台には八木山動物公園という動物園があり、遠足と言えば八木山動物園、っていうくらい、県内の子どもたちには親しみのある動物園。私も子どもの頃に行ったし、仙台の大学に進学してからは、何度行ったかわからん!近くには八木山ベニーランドっていう何とも絶妙にイカした遊園地があって、そこと併せてお山の上の楽しいエリアになっている。仙台が舞台の映画やドラマにもちょこちょこ出てくるんだぜ。

 

この本では、そんな“八木山動物公園”と、“マリンピア松島水族館”、“アクアマリンふくしま”、“盛岡市動物公園”の4つの施設の生き物たちが紹介されている。

 

しかも、実物大で!!!

 

生き物の本や図鑑もいろいろあるけれど、実物大だと、生き物の大きさがイメージできるし、ババーン!とでっかい写真で、皮膚や毛並みの質感をリアルに感じ取ることができる。ゾウさんもいるんだけど、ベロンとページが開くしかけになっているにも関わらず、本に入りきらない!そりゃそーだ!!本当にでっかいんだなぁ~!カバも!セイウチも!大迫力!!かわいい、かっこいい、美しい、愛しい生き物たち!!

「ほんとのおおきさ」シリーズって、いろいろあるのね!!!

その大きさを感じるだけで、とっても、楽しいのだけれど。

 

 

これは東日本大震災の翌年、2012年発行の本。

動物園や水族館で実際に展示されている身近なモデルたちの迫力ある写真とプロフィール、ポップなイラスト、4コマ漫画、それぞれの生き物たちの楽しい特徴。それだけで魅力たっぷりなのだけれど、それに加えて、それぞれの生き物たちの、震災のときのエピソードが添えられている。

これは、岩手・宮城・福島にある4つの動物園・水族館の、被災の記録なのです。

エピソードひとつひとつが、本当にドラマチックで、胸を締め付けられて、命を繋ぐ、ということについて考えさせられる。文章がまた、いいんだよなぁ。。。表紙のニホンザルの赤ちゃんは、震災の時お母さんのお腹にいたのですって。無事に生まれて、本当によかったね。

監修したのは、上野動物園の元園長・小宮輝之さん。あとがきにも、東日本大震災で命を落としたり体調をくずしたりしてしまった生き物たち、そんな中で必死に生き物の命を繋いだ飼育員さんたち、そして、東北の動物園・水族館への応援の想いが綴られている。

 

そんなわけで、2015年に惜しまれながら閉館したマリンピア松島が載っているのねん。マリンピアの、ルーシーちゃんと、アスカちゃん!遠足でアシカのショーを見て、子どもたちは一生懸命生活科のカードを描いていたなぁ!知っている子が載っていると嬉しくなっちゃう。

その後、生き物たちの多くが、同年、仙台港の近くにオープンした仙台うみの杜水族館に引き継がれました。

息子と夫が水族館大好きピーポーなので、うみの杜は年間パスポートのヘヴィーユーザーだし、アクアマリンふくしまも、いわきのおばあちゃんの家へ行く時には何度も遊びに行って年パスを作ったこともあるかなり身近な存在。

盛岡市動物公園も、いつか行ってみたいな。

 

図鑑としても、とっても楽しいので、子どもたちにぜひ紹介したい本。

 

飼育員さんたちの笑顔も最高!

「元気です!」って、言葉が、何より嬉しかったあの頃。今の状況と何か重なるところがある。

 

とっても素敵な1冊だったなぁ。

愛がたっぷり詰まっています。

 

『ほんとのおおきさ特別編 元気です!東北の動物たち』 2012年

発行所 学研教育出版

監修・小宮輝之 写真・尾崎たまき 絵・柏原晃夫 文・高岡昌江

 

 

ボタンちゃん

『ボタンちゃん』 小川洋子 作 岡田千晶 絵

 

小川洋子さん!

 

2年前に学校の図書室で発見し、小川洋子さんって絵本も書くんだぁと嬉しくなって、2年生の子どもたちに紹介した本。近所の図書館でも再発見!うれぴー。

 

その時、クラスで“読書の木”という試みをしていて、りんごの形の付箋に週に1冊、読んだ本の感想を書いて、模造紙に描いたでっかい木に貼り、本の紹介をし合う活動をしていた。

私が描いたオソマツな巨木も、子どもたちがかわいい字で好きな本の紹介をして彩ってくれて、イラストとかも描いてくれちゃったりして、すごく愛しくて、眺めるのが好きだったなぁ。その付箋で紹介したのよね。

もちろん、本が好きな子もそうでない子もいたけれど、み~んなが素直に、書いてくれてたなぁ…

あとは、先生の本棚、というのを作っていて、自分の本を持って来て置いたり、図書室で定期的に本を借りて、その時期の学習に関連した図書とか、季節の本とかを置いたりもした。内容もよく知っていてオススメの本として置いていた本もあったし、完全にジャケ借りで置いていた本も…。その時の、わくわくする気持ちとか、本選びをもどかしく思った気持ちとか、そういうのが、今、このブログにつながっているのです…!

子どもたちと読書で繋がれること…今思えば、本当にありがたく、嬉しいことだった。

 

 

 

「ボタンちゃん」は、アンナちゃんのお気に入りのブラウスの、一番上にとまっているボタンの女の子。

ところが、ある日ボタンちゃんの糸が切れてしまい、仲良しのボタンホールちゃんと離ればなれになってしまう。コロコロ転がったボタンちゃんは、アンナちゃんのかつてのお気に入りのガラガラ、よだれかけ、ホッキョクグマのぬいぐるみに出会って…

 

トイ・ストーリーフリークとしては、ちょっとトイ・ストーリーシリーズをも思い出す内容なんだな!

誰にでもあるのに、いつか忘れてしまう、小さな頃の、大切な、大切な、思い出。

そして、記憶から消えてしまっても、そのどれもが、成長を支え、その人を作り上げているのだということ。

「ボタンちゃん」の救いの言葉たち。

 

小川洋子さんといえば、『博士の愛した数式』の作者。高校生の時に、この本の読書感想文を書いて、チョットいい賞をいただいた。指導してくれた先生の顔がフラッシュバックしました。お元気ですか、先生。

あと、『薬指の標本』も読んだな。

博士の愛した数式』は、記憶が80分しか持たない博士と、その家政婦の「私」、そしてその息子「ルート」の、もう、読んでいたらいろんな思いが溢れ出しちゃう、一筋縄ではいかないハートフルウォーミングストーリー。久しぶりに読みたい。

かと思えば、『薬指の標本』は、狂気漂う、怖くて、官能的な、美しい、お話。

 

小川洋子さんは、人間の情の深さ、あったかさを描くと同時に、かたい、つめたい、人間の残酷さや汚さ、それらの甘美さえも作品に落とし込んでいるように思う。

『ボタンちゃん』も、ただのかわいい癒しストーリーではなく、少し不思議な、大人っぽい雰囲気が漂っている気がするのだけれど、それは小川洋子節ゆえなのかも。

岡田千晶さんの絵がまた、その小川洋子節に寄り添って、優しさと、温かさと、ひんやりとした孤独を美しく表現している。

 

 

小川洋子さん好きにはぜひこの絵本を読んでみていただきたいし、子どもたちには、いつか大人になったとき、小川洋子さんの作品の魅力をビシビシと感じてほしい。 

 

…件の付箋にも、そんなことを、書いたような気がするな。

 

 

小さな付箋に書いたコメントたち。その一つ一つなんて、もう誰も覚えてはいないだろうけれど…あの愛おしい日々をいつか寂しく思う日が来たら、「ボタンちゃん」は、私にも、優しく語りかけてくれるのだろうか。

 

『ボタンちゃん』 2015年

発行所 株式会社PHP研究所

作 小川洋子 絵 岡田千晶

 

 

【アーカイブ】悪い本

今週のお題「怖い話」

 

今週のお題を見たら、この本を思い出さずにはいられなかった…

今のところ、これまで読んだ絵本の中で、一番怖い話は、これです…☟

bg8qp.hatenablog.jp

 

宮部みゆきさんだよっ!絵本なのにっ!絵本なのにめちゃ怖いよっ!!

 

 

 

恐怖という感情は、本来避けたいものではないのだろうか。

それなのに、気になってしまうのは、魅力を感じてしまうのは、なぜなのでしょう…

ぞうさん

ぞうさん』 まど・みちお 詩 にしまき かやこ 絵

 

♪ぞ~うさん ぞ~うさん お~はなが ながいのね

 

…そう!!あの!ぞうさんです!

 

あの歌が、あの詩が、絵本になっている1冊。

 

絵は、『わたしのワンピース』☟

bg8qp.hatenablog.jp

の、にしまきかやこさん。

 

やさしい線。色遣い。ぞうさんが、ぞうさんたちが、すーごくかわいい。

 

何の気なしに口ずさみ、親しんできた『ぞうさん』の歌だけれど、こうして絵と一緒に眺めていると、ああ、こういうシチュエーションだったのかもしれない、と、はっとする。

ぞうさんぞうさん、と愛しく呼びかけ、「おはなが ながいのね」と言ったのは、誰だったのだろう。まどさんご自身か、思い描いた誰かか。この本では、黄色の羽とくちばしが可愛い鳥さんが、お話をつないでくれている。

 

お母さんが大好きな、ぞうさん

みんなに愛される、ぞうさん

 

息子にも、歌を歌いながら読んでみました。最後の、お昼寝しているぞうさん、裏表紙の、ぞうさんとかあさんのお尻がかわいい!だそうです。確かに、とっても、かわいい。

 

愛しいなぁ。

 

とっても、とっても、素敵な1冊でした。

 

ぞうさん』 2016年

発行所 こぐま社

まど・みちお 詩 にしまき かやこ 絵