『ナガナガくん』 シド・ホフ 作・絵/小船谷佐知子 訳
ナガナガくんは、犬。
ナガナガくんは、長い。
何が長いのかといえば…
胴がとてつもなくながーーーーーーい犬だったのです…!
ダックスフントといえば胴長の犬種だけれど、ナガナガは、そんじょそこらのダックスフントとは違う。
あんまり長くて自分のしっぽは見えないし、角を曲がるときはおしりがついてきているかどうか分からない。犬小屋からはいつもはみ出しちゃうし、他の犬たちからは「ソーセージみたい」と笑われる。
でも、ナガナガは全然気にしない。体が長ければたくさんの子どもたちと遊べるし、飼い主のおばさんはナガナガをとても可愛がってくれるのだから。
ところが、ある日、大好きなおばさんを置いて、ナガナガは家出をすることに…
一体なぜ?そして、ナガナガとおばさんは、どうなってしまうのでしょう。
まず、絵がかわいい~!作家のシド・ホフさんは、漫画を描いているだけあって、ポップでコミカルな絵が、眺めるだけでもかわいい。
そして、ナガナガの長さったら、本当に長いのです!インパクト!!出だしから、息子ゲラゲラ。掴みはバッチリ!ニヤニヤしながら読み進めていきました。
日本語訳版は1999年に発行されていたけれど、このお話がアメリカで初めに出版されたのは、1964年。60年近くも前だ~!原題は『LENGTHY』。Lengthyという単語は“length”の形容詞だけれど、非常に長い、冗長な、長ったらしい、な~んて意味があるらしい。ちょっと間抜けで、愛らしい。“ナガナガくん”というのは、なんとも名訳だと思う。
絵本のそでには、
「1960年代から
アメリカで読みつがれてきた
おおらかで楽しい絵本です。」
と、あった。
国や時代を超えて楽しめるテーマ。
笑って、泣いて、ほっとして。
息子もナガナガくんやおばさんに感情移入して、表情をコロコロ変えながら聞いてくれました。
サッパリと笑えるのに、なんだか心にほんわり残る。集団での読み聞かせにもオススメの1冊です。
『ナガナガくん』 1999年
発行所 徳間書店
シド・ホフ 作・絵
小船谷佐知子 訳