絵本ライブラリー 読む、残す、思い出す

2020.4.1スタート。元小学校教諭,児童発達支援スタッフ,年長&0歳兄弟育児中の筆者が,読み聞かせをした絵本を中心に書籍の記録・紹介を行っています。自分と、子どもたちと、本との軌跡を確かめたい。筆者の肌感覚によるカテゴライズもしております。

くんくん、いいにおい

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『くんくん、いいにおい』 たしろ ちさと え

 

クラッカーの敷き詰められた表紙に、くんくん匂いをかいでいる男の子と犬。

この背景、旧ヤマザキナビスコのプレミアムクラッカーらしいよ!

ちなみに私は時々沢口靖子のモノマネをするんだけど“ルヴァン、ヤマザキビスケット”の一節だけ似てるって家族が褒めてくれたよ!ふふ。

さて、その二人の幸せそうな表情はクリムトの『接吻』すら思い出させる。かわええ~。さぞかしイイニオイなんでしょう。ニオイってカタカナで書くと臭そうだな。いいにおい。イイニオイ。どう?

 

The Sense of Smellって書いてあるし、フォントもそれっぽいし、外国の絵本かなぁ、と思ったら!日本の絵本でした!ワオ!

 

 

男の子と犬がくんくん匂いをかいでいる。その先にあったのは、焼き立てのパン。

あぁ~、いいにおい。

くだもののにおい、ごはんのにおい。

うれしいにおい、きもちいいにおい、たのしいにおい。

気持ちにも、匂いって、あるのかなぁ。あるのかも。

おとうさんのにおい。おかあさんのにおい。安心する匂い。

 

匂いは、記憶と強く結びついている。

音楽室の匂い。部室の匂い。学校の匂い。おばあちゃん家の匂い。

♪ドールチェアーンドガッバーナーの…

まさにですね。

 

ページをめくると、本当にその匂いを感じられるような気がした。特に私が強く感じたのは、お味噌汁の匂い、ご飯の匂い、お魚の匂い、あったかいお湯の匂い、鉄の匂い、土の匂い、海の匂い。息子は、どんな風に感じて読んでいたんだろう。

まるで本物のパンの匂いを嗅ぐように本の匂いを嗅いでいた彼は、パンの匂いを、その安心感を、思い起こしていたのだろうか。

 

奥付には“BOOK OF SENSE SERIES①”と書いてある。調べてみたら、他にも聴覚、味覚、触覚、視覚、感覚に訴えるシリーズがあるみたい。感覚を育てていくって、素敵なこと。

そういう意図のようなものが、覚悟のようなものが、感じられる1冊でした。

 

うん。もう一度パラパラめくってみたけれど、やっぱり匂いが呼び覚まされていく…!!!

すごいねぇ、絵って。すごいねぇ、人間って。

 

『くんくん、いいにおい』 2006年

発行所 グランまま社

絵 たしろちさと