『とらっく とらっく とらっく』 渡辺茂男 さく 山本忠敬 え
「絵本原画の世界」で観た絵本、第二弾~!
まず、表紙を一目見て、思う。
”この本は、作り手のこだわりの1冊に違いない…!”
だって、この題字のだんだん小っちゃくなっていく感…間違いなく、こだわっている…!!
文字がだんだん小さくなっているのには、どんな理由があるんだろう。トラックがビューンと遠くに走り去っていく感じ?それともいろんな大きさの車が出てくるから?何となく?いや、まさか。本当の理由は分からないけれど、動きがあって、画にメリハリが出て、なんともやっぱりバーン、と見たときのバランスが良いように見えてくる。つい、とらっく(大声)、とらっく(中)、とらっく(小声)…と読みたくなる。
「みなとの そうこから、にもつを つんで、
トラックが しゅっぱつします。」 (本文より)
幌の付いた黄色い大きなトラックが、町を目指して港を出発する。
高速道路では、大型・小型の乗用車や観光バス、ローリーにスポーツカー。道路工事のエリアでは、ブルドーザーやパワーシャベル、ダンプカーにローラー、ミキサー。白バイ、消防車、救急車も登場。いろんな車がいろんな場所でいろんな仕事をしている。
の訳者であり、『エルマーのぼうけん』の訳者でもある。淡々としているのに、ほっこりするような語り口。白バイのくだりでは私はマジカヨって突っ込んだんだけどどうなの!詳細が詳しく語られないのもまた良いのだが!時代のせいなのか、どうなのか!
絵を描いた山本忠敬さんは、漫画映画の製作に携わった後、数々の乗り物絵本を描き続けたのだそう。
走りゆく車の疾走感。細部までこだわり抜いて描かれた車たちの数々。反して、乗っている人々の絵はあまりにもシンプルでカワイイ。そう、可愛い。あくまでこの絵本の主役は車なのだ、と、トラックなのだ、ということが暗に訴えかけられているような気さえする。
「絵本原画の世界」で観た原画たちも、とても細やかで、美しくて、印象的だったなぁ。
この本が「こどものとも」の絵本として発行されたのが1961年7月。ということは、60年以上もの間、長きに渡って愛されているのね。すごいよね。
そりゃもうね、男の子の心を掴んで離さないよね。いや、もちろん女子もね。
最後のページには道路標識がいろいろ描いてあって、長男も読みながらいろいろ質問してきて、あーだこーだフムフム。実際に道端で標識を見つけては、「ここは車停めちゃだめですよーのマークだよね!」とか言ってたよ!すごいな、絵本効果。
お兄ちゃんの車のおもちゃに興味を示すようになった次男くんも、きっともう少し大きくなったら、興奮して読むようになるのかな。
いろんな車との出会いを楽しみつつ、長男と一緒にわくわくしながら読めたことが嬉しかった。なんかね…長男の成長を感じる日々…もちろんすごく嬉しいんだけど、いつまで一緒に絵本読んでくれるんだろうって時々おセンチになっちゃうよ。
そのうち「自分で読むからいい。」とか言われちゃうのかな。
うん、そうなったらもう次男にロックオンですね。そうですね。次男氏、よろしく!笑
県美のミュージアムショップで、『とらっく とらっく とらっく』の一筆箋も売ってたよ~ん!絵本グッズって、ついつい欲しくなっちゃうねっ…!
『とらっく とらっく とらっく』 1961年
発行所 福音館書店
渡辺茂男 さく
山本忠敬 え