『きんのたまごのほん』
さく マーガレット・ワイズ・ブラウン やく わたなべ しげお
え レナード・ワイスガード
先週の日曜日は、イースターでしたね。
イースターは、イエス・キリストの復活を祝うお祭りで、春分の日以降、最初の満月から数えて最初の日曜日、に行うらしい。それが、今年2021年は4月4日だったのだそう。
日本ではあまり馴染みのない文化ではあるけれど、息子の大好きなおさるのジョージでたまご探しをするお話が放送されていたり、私の大好きなEテレのグレーテルのかまどでイースターのお菓子が取り上げられていたり、お店屋さんにもイースターの飾りやお菓子が売っていたりと、イベントとしては何となく、年々盛り上がっている感がある気がする。東京ディズニーリゾートもいつからかイースターのイベントをやるようになったよね。
クリスマスを祝って、大晦日に寺の鐘の音を聴き、正月に神社にお参りに行く、折衷大好き・寛容な国・日本、ではあるけれど、イースターがこうして着々と日本の四季に定着していっている理由…
それは、なんてったって、かわいいから!だと思う。(個人の感想です。)
たまご!
うさぎ!
カラフル!
かわいいモチーフに、春らしい色遣い。
寒い冬をやっと乗り越え、春に向かってあらゆるエネルギーが盛大に高まっていくなか、ポップでキュートなイースターグッズたちが、私たちの魂に何も訴えかけてこないなどということがあろうか。(いや、ない。反語。)
はい、前置きが長いですが!!
とにかく、
『きんのたまごのほん』が、かわいいんです!!!!!!
絵本を開くと登場するのは、小さいうさぎの男の子。
ある日、中から何やら音のするたまごを見つけたうさぎは、何が入っているのだろうと想いを巡らせながら、どうにかしてたまごを割ろうとするのだけれど、なかなか割れずに眠り込んでしまう…するとピシピシッとたまごが割れて…
ほんわかニヤニヤ、仲良しのお話。
作者は、マーガレット・ワイズ・ブラウンさん。アメリカの児童文学作家。『詩の絵本』、有名よね。今度ちゃんと読んでみよう。
訳は『エルマーのぼうけん』をはじめ、いろんな児童文学の翻訳や、日本語のお話も自ら書かれた渡辺茂男さん。
そして、絵が、『詩の絵本』でもタッグを組んでいる、レナード・ワイスガードさん。
この本は、何といっても、絵が!絵が!!!とにかく素敵!!!(個人の感想です。2回目。)
…いえ、いや、これは、間違いなく普遍的感覚。
だって表紙からして、なんて緻密で素敵な絵なのでしょう。ゴージャスなリボンが巻かれたたまごに描かれた植物ののびのびと、それでいて重厚感のある配置と色遣い。それを無邪気に抱えるふっくらとした愛おしいうさぎよ。
ページをめくっても、めくってもめくっても、その美しく愛らしい世界が、ずーっと続くのだから麗しい。
むしろ、本文の絵の明るい色遣いとのびやかさこそ、味わっていただきたい。なんならページを開いて飾っておきたい。飾るにしたって、どのページにしようか迷ってしまう全ページのクオリティ。ワンピースにして着たい。
まじ、かわいいっす。素敵っす。心躍るっす。
うさぎとたまごのモチーフ、そして春らしい華やかな絵の世界が、イースターの季節にとってもぴったりの1冊でありました。上質!
『きんのたまごのほん』 2004年
発行所 童話館出版
文/マーガレット・ワイズ・ブラウン
絵/レナード・ワイスガード
訳/わたなべ しげお