『みんなあかちゃんだった』 鈴木まもる・作
赤ちゃんの誕生を楽しみにしている息子。
「ぼくがだっこしてあげるんだ!」
「ぼくのおもちゃ貸してあげるよ!」
「これが赤ちゃんのベッドだよ!」(←段ボール。)
どうやら、楽しい妄想がどんどん膨らんでいるらしい。
可愛いなぁ、愛おしいなぁ、と、思う。と同時に、彼にとって、赤ちゃんって、本当に未知の存在なんだろうなぁ、と思う。
私があなたを産んだときだって、全てが未知の世界だったのだから、たった5歳のあなたにとって、赤ちゃんっていうのは、本当にわけのわからない、新生物なんだろう。
赤ちゃんがどんなものか、伝えられるような絵本は無いかなぁ…と思っていたら、見つけたー!そうだそうだ、これがいい。2年生の担任をした時に、生活科の生い立ちを振り返る学習で紹介した本。
「わすれちゃったかも しれないけれど,
あなたも
あかちゃんだったときが あったのです。」(そでより)
この本には、生まれた直後から3歳くらいまでの赤ちゃんの生態が描かれている。
そう、”生態”。笑
最初のウンチは黒い、とか、おっぱいを飲みながらねちゃうこともある、とか、赤ちゃんのありのままの姿や、いろんなことができるようになっていく様子、だんだんやんちゃになっていく様子などなどが、ページいっぱいにユニークに描かれている。
読んでいたらなんだか懐かしくて、携帯に入っている昔の写真を見せながら、君もこうだったよ、ほら、この絵と同じポーズじゃない、なんて言いながら、ずいぶん時間をかけて読んでしまった。今までだって、息子が赤ちゃんだった頃の写真を一緒に見ることはあったけれど、絵本と一緒に見ることで、説得力が増した、というのか、母が勝手に感情移入しちゃったのか、なんだかすごく尊い時間のように思えた。なんて幸せなんだろう。なんてありがたいことなんだろう。元気に生まれてくれて、大きくなってくれて、本当にありがとうね。
ちなみに息子は、ツッコミを入れているネコのキャラクターが気に入って、ゲラゲラ笑っておりました。そして、赤ちゃんっていうのは面白い生き物なんだな、ということが分かったらしい。笑
私も、1人目のときは悩んでばかりだったけれど、親が必死にもがいている間に子はどうにか育つ、ということが分かったから笑、これから家族で一緒に格闘する日々がとっても楽しみになりました。
これからお兄ちゃんお姉ちゃんになる子にはもちろん、小学生に、中学生に、ぜひ読んで欲しいなぁ。集団で全部を読み聞かせるのは難しいけれど、かいつまんで紹介しながら読むのもすごく面白いと思う。
わたしも、あなたも、お隣のおじちゃんも、テレビに出ているあの人も、本当に、最初は、みんなあかちゃんだったんだよね。
愛がいっぱいの1冊。
『みんなあかちゃんだった』 2000年
発行所/小峰書店
作/鈴木まもる