絵本ライブラリー 読む、残す、思い出す

2020.4.1スタート。元小学校教諭,小3&3歳兄弟育児中の筆者が,読み聞かせをした絵本を中心に書籍の記録・紹介を行っています。自分と、子どもたちと、本との軌跡を記しておきたい。筆者の肌感覚によるカテゴライズもしております。昔の記事も振り返って楽しんでもらえるブログを目指したい。

かくしたのだあれ

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『かくしたのだあれ』 五味太郎さく

 

表紙には、わに、かに、にわとり、かまきり、あとは…これ、たぬき?レッサーパンダ??

裏表紙には、きりん、さめ、かめ、くちばしの長い鳥。

 

1977年に発行されたこの絵本、奥付を見るとサブタイトルに≪どうぶつあれあれえほん≫と、ある。

あれあれ、というのは、どの辺が「あれあれ」なのだろうか。「あれあれ、何かおかしいぞ」のあれあれなのか。そもそもどうぶつあれあれえほん、というシリーズがあるのか。はたまたこの本そのものがどうぶつあれあれえほん、なのか…

それにしては表紙における“どうぶつあれあれえほん”の表記があまりにもひっそりと、消極的なんだよなあ。

それでも、絵本の情報を調べると漏れなく≪どうぶつあれあれえほん≫と、サブタイトルが付いてくるんだよなあ。

 あれあれ、あれあれ…

 

 

 

さて、ページを開けば向かい合った二羽のにわとり。

 

「てぶくろ かくしたの だあれ」(本文より)

 

にわとりの一羽は立派なとさかを持っている。

もう一羽は…あれあれ、かわいいピンクの手袋のとさか。

『手袋はどこ?』『この動物は、なあに?』…ほほぅ、こんな風に探しながら、遊びながら、会話しながら読んでいくのか。

 

次のページには、わに。…あれあれ、一匹だけ、歯が歯ブラシになってるわにがいるぞ??

『歯ブラシはどこ?』「見つけた~!」『わにの歯が歯ブラシだったらどうする?』「えー!」

…息子氏いわく5歳児には「これ見つけるのかんたん!」なんだそうな。

 

次のページも、あれあれ、靴下が…!

 

 

 

 

 

…お気付きだろうか。

私ったら、読みながら“あれあれ”って言っちゃってるんだわ。言うわ。言ってるわ。これ、言っちゃうわ。

あれ?でもなく、おやおや?でもなく、あれあれ、と言わずにはいられないこの感じ。うーん、やっぱり、これは、「どうぶつあれあれえほん」なのだ。誰が何といおうと、「どうぶつあれあれえほん」なんだ…!

 

 

 

 

 

さて、息子と読みながら気付いたのだけれど、この絵本、私も子どもの頃、読んだことがあるような気がするんだよなぁ…もちろん全部は覚えていないのだけれど、わにの歯とか、スプーンとフォークのおさげの絵を見ると、わぁ…って、脳みその裏側にこびりついていた懐かしさがじわぁ~~っと沁みだしてくるような感じ。幼き日の、温かで、どこか、切ないような、記憶。五味太郎さ~ん。

 

これまでに息子と一緒に絵本を読んできた時間も、彼にとっては人生のほんの一瞬でしかないけれど…彼の脳みその裏の奥の奥の奥にでも、何か、小さく、残っていてくれていたらいいな。

そしていつか、ふとしたときによみがえって、彼を助けてくれたり、励ましてくれたり、笑わせてくれたりしたらいいなぁ、と、思うのです。

 

『かくしたのだあれ』 1977年

発行所 文化出版局

五味太郎 さく