『せかいじゅうから たっくさん!』 マーク・マーティン 偕成社 編集部 やく
ごちゃごちゃと様々な文化の入り乱れる表紙。
…楽しいやつだ!と、直感的に、思う。
筆者は、オーストラリアのメルボルンで活躍するマーク・マーティンさん。
南極大陸、アリス・スプリングス、香港、東京、ウランバートル、ニューデリー、モスクワ、カイロ、パリ、レイキャビーク、ニューヨーク、ガラパゴス諸島、アマゾンの熱帯雨林、リオ・デ・ジャネイロ、ケープタウン…世界中のいろんな都市のいろんな文化が、見開き1ページずつめいいっぱいに、ユニークな絵と文で描かれている。
これは、読み聞かせではなく、一人でニヤニヤ、もしくは、少人数でワイワイ、楽しめる本。
絵の美しさも、楽しさも、手書きの文字も、遊び心ありまくりの1冊。好き!もはや世界旅行をしている気分。なんかね、ページをめくるだけで匂いまで変わるような気がする…!
都市のチョイスも面白いよね。オーストラリアの人が見た、“世界”の都市たち。私が世界の都市を選ぶとしたら、また違うチョイスになると思う。また、別の国の人がやってみてもね。
東京のページもあるんだけど、サラリーマンがマスクしてたり、自動販売機がフィーチャーされてたり、カワイイ文化に、ラーメン、スクランブル交差点…あとは“東京の街はなんども怪獣にこわされている”(ゴジラ的な)とか書いてあったりして!だいぶユニークな街として、描かれている。確かに、トウキョウの文化って、ユニークだよな。
他の都市のページも、まぁ、面白いんだわっ!!
息子は、ガラパゴスと、アマゾンと、リオのスタジアム、ニュー・デリーの高いところからチャイを淹れてるところが気に入ったそうです。
偕成社のホームページでは、対象年齢が小学校中学年からになっていたけれど、解説しながら絵を見る分には幼児も十分楽しめるし、低学年の子も、漢字が一部読めなかったり難しい部分があったりはするだろうけど、多分、ちゃ~んと楽しめるよ!!!
自分で読んで、噛み砕いて、ニヤニヤ・ウフフってしながら楽しめるのが、中学年以上、なんだろうなぁと思いました。
表紙を開いたページの世界地図は、ヨーロッパが中心に据えてある。オーストラリアがイギリスの自治領だから?グリニッジ天文台が真ん中?
日本で使う世界地図は、日本が中心にあるよね。こんな感じ☟
ちらっと調べたら、なんだかどうやら、この本にも載っていた、ヨーロッパが中心にあるものが世界のスタンダード地図らしい。こういうやつ☟
確かに、これだと日本が一番東にあることになる。東洋。キョクトウ!アメリカ中心の地図も見たことがあったけれど、こっちがスタンダードなのか。ほぉぉ~~…
いやぁ~、これはプチ世界旅行体験本です。
ページをめくる度に、いきいきとした暮らしが溢れて、零れ落ちてくる。
いろんな街に、いろんな人が、いろんな生き物が、暮らしている。
全然違うところ。遠く離れていても、おんなじところ。
子どもたちには、長い人生、どうか、互いのいろんな違いを締め出さず、楽しんで、輪を広げていってもらいたいと思う。
今は、全世界中が、耐え忍んでいるけれど…また、いつか、世界中の人が、世界中をたっくさん!飛び回れる日が来ますように。
『せかいじゅうから たっくさん!』 2020年
発行所 偕成社
マーク・マーティン 作 偕成社編集部 訳