『もこ もこもこ』 たにかわ しゅんたろう さく・もとなが さだまさ え
「しーん
もこ
もこもこ にょき
もこもこもこ にょきにょき …」 (本文より)
これは、一体、何なんだろう。
抽象の塊。
有無相生。
生命の、宇宙の輪廻か。
なんだかよく、いや、全くもって分からないのに、見入ってしまう世界。
長男がベイビーの頃結構繰り返し読んでいたのだけれど、次男もハマった!!
しーんとした世界。キャッチーな色遣い。ゆっくりと、それでいて、あっという間の展開。
「みるみる絵本」と銘打たれているけれど、なんだかまさに“見る見る”な感じに吸い寄せらせられ、気付けば何度も繰り返し読んでおりました。
何か知らないけどいちいち笑うし、「もこ?」とか「こ?」とか「ぷぅ?」とか、なんかマネしてたよっ!!!かわいいなっ!
そうそう、このタイトルの一個目の「もこ」さ、
もこ⤴なんだよね。
もこ⤴。
もこ→
じゃなくて、
もこ⤴。
表紙の文字の並びを見ると、2文字目の「こ」が少し上に浮かんでいるような恰好になっている。だから、もこ、と平坦に読むんじゃなくて、もこ⤴ と、「こ」のイントネーションが上に上がると、いいんじゃないかな。とね、思ったわけですよ。ええ。ちなみに、その配置に気付いたのは、何度も読んでからのことだったんですけどもね。そんなわけで、それはそれは大発見for meだったんですよ。
だもんでね、前にテレビ絵本か何かで俳優さんがこの絵本を朗読していたとき、まさに、
もこ⤴
と読んでいらして。
「そうだよねぇぇ!!!!そうそう!!アンタ、分かってるぅぅ!!!!」
と上から目線で激しく共感したのでした。
読んでいた方、誰だったんだろうなぁ。
みなさんもぜひ音読する際にはトライしてみてね!!え、知ってた?気づいてた??ほんと?
表紙を開いてすぐ、谷川さんが“そで”に寄せている前書きも、なんともかんとも、良いんだよなぁ。
ああ、この本は、なんだか面白い人たちが作った本なんだなぁ、と、親しみを寄せて読むと、「?」のバリアを飛び越えて、絵と言葉の広い広い世界に思いを馳せることができる。気がする。
もしかしたら、そんな読み手の気持ちまで想像して、谷川さんはあの文章を書いたのだろうか。
とか、思いつつも。
…やっぱり、よく、わからない!
本当に、なんなんだろう、この本は。
もこ。
『もこ もこもこ』 1977年
発行所 文研出版
谷川俊太郎/作
元永定正/絵