『ぎょうれつ』 中垣 ゆたか
先日、長男氏の初めてのピアノの発表会がありました。
曲は、ギロックの『大行列』と、ブルグミュラーの『アラベスク』。曲が決まってからの約3ヶ月は、彼にとって、また、私にとっても、戦いの毎日だったなぁと思います。
まず、選曲にびっくり!ヤマハの幼児科で楽しくピヨピヨ2年間のレッスンを受けてきて、やっとこさ1年生になったばかりの彼には、ハードルが高すぎるのではないか…!!特にアラベスク。練習を始めたばかりの頃には、到底弾けるとは思えない状態でした。
でもねぇ…弾けるようになるんだねぇ…
日々の練習はもとより、YouTubeで良い演奏を探しては聴かせ、ひたすら指の練習、最後の1か月は毎日メトロノーム攻め…どんなに疲れていても、その2曲だけは絶対に弾く。その他にも宿題の曲は山積み。両親どちらからも指導が入り、ママからのヒステリックなダメ出しを浴び続け、パパに「やめちまえ」と言われては「やだ!」と言って必死に練習する毎日。…ああこうやって書いているとなんてひどい親なんだろう。笑
そしてこうして文章に書き出してみたらさ、スパルタ練習は親のエゴだったのではないかと穴に入って反省したくなるな。恥ずかしいっす。。。
9月に入った頃には『大行列』はおおよそ形にはなっていったものの、強弱やリズムやハーモニーを楽しみながら弾けそうな曲なのに、なんとなく平坦な演奏になっていることが勿体ないなぁと思っていて。あぁ、そうだ、行列といえば、長男の好きな絵本があったじゃないか、と、思い出したのが、こちらの本。
「なんの ぎょうれつ?
どんどん ならんでる
まだまだ ならんでる
どこまで いくのかな」 (本文より)
ページいっぱいに並ぶ、人、人、人。ウォーリーを探せさながらの「密」でウッキウキなページ感。
幼稚園の頃に彼が中垣ゆたかさんの『UFOのつくりかた』と『ぎょうれつ』にはまって、一緒に読みながら絵を眺めてゲラゲラ笑っていたのを思い出し、図書館で再び借りてみたのでした。細かいところを見たらキリなく楽しめるし、世界一周している気分になれるのが最高!
私は今回初めてギロックの『大行列』に出会いまして、
ゾロゾロと歩く人々。
あっちではガヤガヤ、こっちではヒソヒソ、
みんなで並んで、イチ、ニ、敬礼~!
…的な感じをイメージしたんだけど(文字に起こすとなんだか陳腐だな…!)、まぁ、なんだか楽しそうな、ワクワクな雰囲気を少しでも演奏に反映できたらと思ってこれ読もうよ~って誘ってみたわけよね。
長男も「おぉ!なつかしい!これ、面白いんだよねぇ~!」な~んて一丁前に懐古しながら、ニヤニヤ眺めていましたが…果たして演奏に活きたかどうかは不明!笑
でも、楽しく読んでいたからいいのだ~。
それにしたって、『大行列』って…何の行列なんだろう…原題はStately Procession…意訳としては大名行列、的な感じらしいけど…誰の何のための行列なのでしょう。ネットで調べた限りではよく分からなかったなぁ…英語のサイトとか読めればもう少し詳しく分かるのかもしれないけど…知っている人がいたら教えてちょんまげ。
ほんでもって、やっぱり、ギロックって素敵だなぁ…あの音数で、あの短さで、あの易しさで、曲を美しく楽しくかっこよくまとめる天才…本当に天才。私もギロックの曲練習しようかな…
さて、本番では、間違いは多々あったものの、舞台に「向き合う」という言葉がぴったりくるような、堂々たる姿で…。家では間違ったらキョロキョロしたり、焦ってテンポが崩れたりしていたのに、どうしてこんなに、ちゃんと戦えるんだろう、って、涙が出そうだったよ…。
それと同時に、舞台に上がってしまえば、その時間は自分のもの、そしてお客さんのもの。ステージに上がった瞬間から下りる瞬間までを味わい、楽しみ、戦う。そういう舞台の醍醐味みたいなものに、彼も少しだけ触れることができたんじゃないかなぁと思えるひとときだった。
他の出演者の演奏にも楽んで耳を傾け、大変立派な発表会デビューでしたよ!まじで偉かったなぁ~(※絶大なる親バカ補正がかかっています。)
ついつい感情的になってしまう自分を恥じ、自分のペースでぼーっと、いや、どーんと、ぶつかっていける長男を誇らしく思いました。へへ…!
は~~い!ごめん!親バカはここまで~~っっ!!
先生、ご指導いただきましてありがとうございました!
これからも楽しんでいこうぜっ!
ま、まずはママは君に優しくすることからっっ…!!!
『ぎょうれつ』 2013年
発行所 偕成社
中垣 ゆたか