『わたしのペットはまんまるいし』
作 スティーブンW.マーティン 絵 サマンサ・コッテリル 訳 久保陽子
“ペットが飼いたい!”
これは、幼き頃に誰もが思うことなんじゃないかなぁと思う。
私だって、そうだった。
犬が、猫が、飼いたかった。友達が子猫の貰い手を探していれば、一生懸命親にアピールをして、どうにかして「仕方ないわねぇ」の一言を引き出せやしないかと必死で粘った。
犬や猫がどうしてもだめだと分かったら、今度は鳥か、ハムスター。ペットショップに何度も見に行ったっけ。特にハムスターは、小学校5年生の時にクラスで飼ったことを機に大いにハマってしまって、どうしてもどうしても、ど~うしても欲しくて…ついに私は、お母さんを口説き落とすことに成功したのです…!
今も忘れない、大河原のペットショップで、一匹ずつ紙の箱に入れられて、彼らは我が家にやってきた。1匹目はトロちゃん。少し青みがかった毛並みの美人でお利口なハムちゃんだったなぁ。そして、もう1匹はクリちゃん。栗色の毛並みででっかくてど~んとしたドスコイ系。どっちもメス、のはずだった。
はず、だった。
でも、どうやら様子がオカシイ。気付けばネズミ算式に我が家のハムハムたちは増えてゆき、我が家は一時期ハムスター屋敷と化した。そう、クリちゃんはオスだったのです!
でも、かわいいベイビーをたくさん見られたのは嬉しい誤算。ピンク色のグミみたいなのだったのが、小っちゃい体に少し毛が生えてきたくらいの頃がそれはそれは可愛くて、手のひらで寝ちゃうのが愛おしかったなぁ…
さて、『わたしのペットはまんまるいし』の主人公のシャーロットは、お誕生日にペットを買ってもらったのだけれど、そのペットは、犬ではなく、猫でもなく、ハムスターでもなく…大きくて真ん丸な、石!!最初は少し戸惑うけれど、ポジティブなシャーロットは、真ん丸な石をそれはそれは可愛がるようになる。すると、その石は、なんと…!
サマンサ・コッテリルさんは、布デザイナーでもいらっしゃるとのことで、なるほど、ページに広がる模様がどれも美しい。かわいい!シャーロット、オシャレだな!
そして、やっぱり考えが、言葉が、ポジティブ!欧米だっ!
シャーロットの子どもらしい前向きな言葉に、元気が出てくる。石を思いっきりかわいがるシャーロットに、胸キュン間違いなし。
言葉と絵の一つ一つを味わいながら、とびきりハッピーな最後のオチを楽しみたい1冊です。
『わたしのペットはまんまるいし』 2020年
発行所 ポプラ社
作 スティーブン W.マーティン/絵 サマンサ・コッテリル
訳 久保陽子