絵本ライブラリー 読む、残す、思い出す

2020.4.1スタート。元小学校教諭,小3&3歳兄弟育児中の筆者が,読み聞かせをした絵本を中心に書籍の記録・紹介を行っています。自分と、子どもたちと、本との軌跡を記しておきたい。筆者の肌感覚によるカテゴライズもしております。昔の記事も振り返って楽しんでもらえるブログを目指したい。

万次郎さんとたぬきのこ【こどものとも2021年5月号】

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『万次郎さんとたぬきのこ』 ぶん・本田いづみ え・北村 人

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こどものとも」5月号が届きました!

 

今月は横長だった!こっち向きもイイネ!

 

 

主人公の万次郎さんは、毎日早起きをして、種まきに水やり、草つみにたけのこほり…朝から晩まで働いている。

ある日、万次郎さんは草団子を作り、仕事の後に食べることにして出かけると、3匹の子だぬきたちに出会う。お昼寝から目覚め、お腹が空いたと泣き出してしまう子だぬきたち…万次郎さんは自分のお昼ご飯のおにぎりを差し出し、それでも足りないと騒ぐ子だぬきに、ふかし芋、大根汁をこさえてやり、とうとう草団子まで食べられてしまうのですが…

 

 

あぁ…万次郎さんって、素敵。好き。いい男。

穏やかで、優しくて、チャーミング。私だったら子だぬきに手を焼いて間違いなくイライラしてしまいそうなんだけども、万次郎さんは、違う。本当に人間が良くできている。表情がまた、すーごくいいのよねぇ。そして、たぬきたちも結局、とってもとっても可愛いのだ。きゅん。

おいしい食べ物。丁寧な暮らし。

なんともほっこり、優しい気持ちになれるお話でした。

 

 

絵を描かれたのは北村人(じん)さん。北村さんのプロフィールによると、星野源の『そして生活はつづく』の装画も手掛けているという。おお、その本、家にあるなぁ。

 

北村さんが、こどものともの付録の”絵本のたのしみ”に、文章を寄せている。

 

私、存じ上げなかったのだけれど、万次郎さんのお話はシリーズになっていて、本作が3作目なのだそう。そして、その製作途中に作者の本田いづみさんはご逝去されてしまったのだそうです…編集部だよりによれば、『万次郎さんとたぬきのこ』は、本田さんのご家族の協力を得て完成された文章なのですって。

その訃報を受けてから原稿を読んだ北村さんは、突然のことに驚きと悲しみに暮れながら、遺された原稿を絵本の形にしようと動き出したのだそうです。   

 

本田いづみさん、まだまだお若かったのに…でも、きっと本田さんも天国で完成した絵本を読んで、幸せな気持ちになったんじゃないかなぁ、と思う…作り手の想いがたっぷり詰まった、言葉も、絵も、柔らかくて、愛にあふれた絵本でした。本田いづみさんのご冥福をお祈りいたします。

 

 

前の2作も読んでみたいなぁ!!

 

月刊予約絵本「こどものとも

『万次郎さんとたぬきのこ』 2021年5月号(通巻782号)

発行所 福音館書店

ぶん・本田いづみ え・北村 人