木が好きです。
好きといっても、パッと見て何の木だか分かるのは数種類がいいところ。でも、その頼もしさに、温かさに、素朴さに、グッときちゃう。
あんなにも朴訥で、それでいて生き生きとしているものって、他にはないだろう。ほれぼれしてしまう。いい男。好みのタイプ。そうだ。もしかしたら、そんな感じ。
特に今の季節はいいですね。体感として、ゴールデンウイークを境に、宮城の新緑は輝き始めるように思う。青い空に映える青葉の、薫風の、心洗われるような季節。本当に、最高!
佐藤忠良さんといえば、『おおきなかぶ』。宮城県出身の芸術家で宮城県美術館にも常設の記念館がある。地元の市民センターにも佐藤忠良作の彫像があって、ポーズの真似をして写真撮ったりしたっけな。
木島始さんといえば、彼が作詞をし、萩京子さんが作曲をした『発見のうた』という歌を半年ほど前に歌ったことがあって、それがまた素敵な詩で。
とにかく、『木』という題名で、表紙にお二人の名前を見たら、なんだか思わず手に取らずにはいられなくなってしまった。
「おおきな木は
なにを かんがえているのかな
おおきな木を
えに かくと
おおきな木は
いろいろ はなしをしてくれる」(本文より)
佐藤忠良さんの、ごつごつと力強く、生き生きとさわやかで、命に満ち満ちたいろんな表情の木のスケッチ。木島始さんの、穏やかで、のびやかで、それでいて好奇心に満ちた少年のような、語り口。最後には、ページが広がるしかけがあって、大きな木を本当に見上げているような存在感がある。
もしかしたら、実物より、写真より、リアル。何と表現したらよいのだろう。いつまでも眺めていられるような、すごいエネルギー。
学校で読むなら…生活科もいいし、図工で木をデッサンする前に読み聞かせしてみるのもいいかも。
木のすごさを、木とともに生きる喜びを味わえる1冊。自然礼賛。
『木』 2005年(こどものともは2001年)
発行所 福音館書店