『ブタヤマさんたらブタヤマさん』 長 新太・さく
これは『キャベツくん』の愛すべきサブキャラクター・ブタヤマさんの、スピンオフ作品である。
ブタヤマさんは肩から斜めに虫かごを掛け、勇ましく虫取り網を振り上げて、夢中でチョウを追いかける。
後ろからオバケが来ても、デッカイ生物が襲ってきても、何が来たって気付かない。
オバケに巨大な鳥・セミ・ネズミ・バッタ…いろんなオソロシイものがブタヤマさんに迫ってくる。でも、ぜ~んぜん気付かずに、チョウばかり追いかけるブタヤマさん。
そこで、
「ブタヤマさんたら ブタヤマさん うしろをみてよ ブタヤマさん」(本文より)
と、繰り返し呼び掛けていく、というわけなのです。
「なあに どうしたの なにか ごよう」
と時々ボンヤリ答えるブタヤマさんが、なんともかわいい。
襲ってくるモノたちは、何ともデッカク、オソロシク、読んでいるお子様は「わ~~!」「きゃ~~!」「逃げて~!!」と反応してくれることでしょう。本の表紙がすでに怖いよね!へへ!
言葉での描写はほとんど無いので、絵を見て一緒に迫力を味わえるのが良い。
我が家で息子に読み聞かせたときは、まだ4歳だったので、絵を見て一緒に何の生き物か確認したり、「セミにおしっこかけられてるよ!」だの「もうしっぽにくっついてるじゃ~ん!」などと描かれている様子に触れたりすることで、絵本の中で起きていることがより詳しく分かって、ゲラゲラ笑って楽しんでおりました。
そして「ブタヤマさんたら ブタヤマさん…」の台詞を一緒に唱えるのも、また楽しいかもね。
息子は「ブタ“マヤ”さん」になってたけどね。
とにかく、ブタヤマさんは夢中なのです。1点集中。男子だなあ。
『キャベツくん』で「ブキャッ」と怖がっていた臆病なブタヤマさんは、どこにもいない。
そして、ブタヤマさんは、やっぱり、愛しい。
『ブタヤマさんたらブタヤマさん』 1986年
発行所・文研出版
作・長 新太
これすごいね。