『わたしのおうち』 かんざわ としこ・さく やまわき ゆりこ・え
春のあたたかな陽気にぴったりの、私が小さい頃大好きだった絵本。
息子も、大好きになってくれました。
ずいぶんと文字が読めるようになってきた息子。
ひらがなとカタカナだけで書かれた絵本で、一人読みにも向いているかもしれません。
山脇百合子さんの絵が、また、とってもかわいくって、素敵。
何度も、何度も、一緒に読んでいます。
体がすっぽり入るくらいの大きな段ボールで作った、わたしだけのお家。
…ああもう、それだけでワクワクしちゃうぞ。背丈より大きな段ボール。すーごく憧れたなぁ。子どものロマン!
ところが、弟が邪魔をしてくるものだから、野原へお引越しをすることにした「わたし」。
ながいみみのうさぎ、きつねのこども、あなぐまのこども、うずらのおやこ、いたちのこ。
どんなお客様が来るか、目をつぶって想像しながら待っています。
想像の中の「わたしのおうち」は、それはそれは素敵!
インテリアも、お客様に振舞うお料理も、ちょっと背伸びした「わたし」の台詞も。
特に私が憧れたのは、いちごを挟んだシュークリーム…!いつか焼いてみたい、と思ったものでした。
幼き日の私は、「段ボールでも、こんなお家が作れるのか~!」と本気で勝手に興奮したものだったけど、そんな訳はない。いつだって、子どもの想像力は、美しい。
今、読み返して、はっとさせられるのは、神沢利子さんが描く子どもの心の生々しさ、その、凄さ。
子どもってーのは、生意気なのだ。子どもってーのは残酷なのだ。でもって、優しくて、強くて、美しい。
おねえちゃんと、弟って、きょうだいって、そんなもんだよねぇ。最後はなんか泣いちゃいそうになります。
それにしたって、子どもって、どうしてそんなに段ボールが好きなんだろう。
でも、大きい段ボールが目の前にあったら、とりあえず入るよね、うん。
『わたしのおうち』 1982年
発行所 あかね書房
神沢利子 作 山脇百合子 絵
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